大津いじめの全容解明になお時間 三者委調査、訴訟踏まえ

大津いじめの全容解明になお時間 三者委調査、訴訟踏まえ
産経新聞 2012年12月22日(土)15時12分配信

 大津市で市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題は、滋賀県警がいじめたとされる同級生3人について、書類送検するなどの方針を固めたことで、大きな節目を迎えた。ただ、市が設置した第三者調査委員会の最終報告書提出は当初の年内の予定から来年にずれ込み、男子生徒の両親が加害生徒らに対して損害賠償を求めた民事訴訟も依然係争中だ。男子生徒の自殺の発生から1年2カ月。一連の問題の全容解明はなお時間を要しそうだ。

 捜査は、対象が中学生であることから慎重に行われた。生徒約360人や教諭ら参考人から事情聴取を進め、学校などで現場検証を重ねた。告訴45件を容疑事実ごとにまとめて送致すべきだとの意見もあったが、県警は一件一件の行為を特定し、処遇意見をつけての送検を決めた。捜査関係者の一人は「膨大な数の参考人の話から事実を突き詰めていくのは、日付の特定すら難しかった」と漏らす。

 一方、市の第三者調査委員会は最終報告書を越直美市長に提出することにしており、生徒らの聞き取りなどを進めている。当初は、年内提出を目標にしていたが今月になって延期を決定。横山巌委員長は「事実解明のため、さらに聞き取り調査が必要」と説明し、来年1月中にも提出したいとしている。また、今年2月には両親が約7720万円の損害賠償を求めて大津地裁に提訴。先月行われた第4回口頭弁論で市は「調査委と県警の捜査の結果を踏まえる」と説明した。

 調査委は、県警に捜査資料の提供などを要望していた。県警の福本茂伸本部長は9月の滋賀県議会代表質問で「捜査終了後、可能な限り教訓事項や問題意識の共有に努める」と答弁していたが、これから開かれることになる少年審判が終了しないことには情報提供も据え置かれる。1月中の最終報告書提出を目指している調査委は独自の結論を出すこととなる見通し。

 こうした状況に対し、亡くなった男子生徒の父親(47)は「中途半端な結果に終わらないようしっかりと真相解明してほしい」と話し、緻密な捜査を求めていた。

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