<やらせ受験>大産大、内部告発棚上げ 文科省に報告せず
毎日新聞 2013年3月18日(月)15時1分配信
大阪産業大学(大阪府大東市)が09年度入試で付属高校に生徒を受験させるよう依頼し、高校が生徒に謝礼を支払った問題で、付属高の元教頭が11年、問題を指摘する内部告発の手紙を、大産大側に送っていたことが分かった。これを受け、付属高が関係した教諭らに事情を聴いたが、大産大は文部科学省などへ報告せず、第三者による調査もしなかった。関係者からは問題の隠蔽(いんぺい)と批判する声が高まっている。
元教頭は毎日新聞の取材に、入学者が増えすぎて国から補助金をカットされないように、大産大の要請で、入学する意思の乏しい生徒を受験させ、謝礼を支払ったと証言している。
元教頭は付属高を退職した後の11年9月、「(09年度の)経営学部の入試で、入学者の超過による補助金停止を逃れるため、高校の優秀な生徒を複数回受験させた結果、入学者数を減少させ補助金交付を受けているという犯罪的行為に加担しました」と告白する手紙を大学側に送付。生徒に謝礼を支払ったことも示唆し、「複数の役員からの指示で行いましたが、非常に問題があり、深く反省しています。経営学部を志望した一般受験生の信頼を損なったことなど貴学園が対応すべきことが多くなります」などと記している。
複数の学校関係者によると、11年10月、付属高の幹部が、生徒に受験を依頼した担任の教諭2人から事情を聴いたという。12年7月の入試に関する会議では、大学側が補助金目的で受験を依頼したことを認めたものの、内部調査にとどめて文科省などに報告はしなかった。13年1月、学校関係者が同省に内部告発。大産大や付属高が同省や大阪府に報告したのは、その後だった。
ある大産大教授は「内部告発の情報が校内に広がり、事実関係の解明を求める声が上がったのに、大学は対応しなかった。問題を隠蔽しようとしたのではないか」と大学の対応を問題視している。
大産大は18日午前、報道各社に対し、理事長の意向として「(報道陣の)カメラを入れる必要はない」と記者会見などを拒否した。【原田啓之】