懲戒免職の元教諭、退職金不支給「取り消し」に
2012年12月22日11時58分 読売新聞
酒気帯び運転を理由に懲戒免職となった元岩手県立高校教諭の大和田進さん(60)が県を相手取り、懲戒免職と退職金の不支給の処分をともに取り消すよう求めた訴訟があり、盛岡地裁で21日、判決が言い渡された。
貝原信之裁判長は、懲戒免職は適法としたものの、退職手当の不支給については、「(酒気帯び運転は)退職後の生活保障を全て奪い去るような重大な行為とまでは評価し難い」として取り消しを県に命じた。
判決によると、大和田さんは、県立高校の教諭だった2010年9月22日夜〜23日未明に自宅で飲酒し、同日午後2時過ぎに奥州市内で乗用車を運転中、警察官の飲酒検知で呼気1リットルあたり0・30ミリ・グラムのアルコールが検出された。大和田さんは県教委から懲戒免職処分を受け、水沢簡裁は罰金30万円の略式命令を出した。
判決で貝原裁判長は、「原告の飲酒運転は公教育への信頼を大きく損なうもの」と指摘し、「県教委の裁量権の範囲の逸脱、乱用とはいえない」として懲戒免職の取り消しは認めなかった。
一方、退職手当の不支給については、「県条例は、懲戒免職になった場合一律に退職手当の全部を支給しないとしているのではない」との理由から、「減額はやむを得ないが、それまでの勤務態度に問題はなく、すぐに事実を報告し、反省している」とし、不支給は「社会通念状著しく妥当を欠き、違法」と結論付けた。
大和田さんの弁護士は「懲戒処分が取り消されなかったのは残念。控訴については本人と相談して決める」と話している。県教委は「判決内容を読み、対応を検討したい」としている。