橋下市長押し切った 大阪市教委が桜宮高体育系学科の募集を中止

橋下市長押し切った 大阪市教委が桜宮高体育系学科の募集を中止
スポーツ報知 2013年1月22日(火)7時4分配信

 大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の男子生徒(当時17歳)が顧問からの体罰を苦に自殺した問題で、市教育委員会は21日に会議を開き、橋下徹市長(43)の意向通り、同校の体育系学科の募集を中止し、定員120人分を普通科として募集することを賛成多数で決めた。橋下市長はこの日午前、同校を訪問。在校生代表が「新入生の受験の機会を奪ってほしくない」と橋下市長に入試の実施を訴えたが、切実な声は届かなかった。

 「新たな教育方針ができるまでは、生徒を受け入れることはできない」と、体育系学科の入試中止を要請していた橋下市長の持論を、市教委は受け入れた。

 会議では〈1〉来月20、21日に実施予定だった体育科(定員80人)、スポーツ健康科学科(同40人)の体育系2科の入試を中止して普通科(3月11日実施)での募集に変更する案〈2〉予定通り実施する案―の2案を教育委員に提示。約2時間の話し合いの結果、委員5人の採決で変更案に4人が賛成し、中止が決定した。

 唯一反対したのは、〈1〉の案を「看板の掛け替えにすぎない」と指摘した長谷川恵一教育委員長だけ。数の論理には勝てず、「私としては不本意な感は否めない」と漏らした。ただ、変更案を支持した委員も「〈1〉以上の案を思いつかない」「ベストではないがベター」など消極的な意見が多く、もろ手を挙げての賛成ではなかったようだ。

 しかし、中止決定を受けて橋下市長は満足げ。「教育的な視点から素晴らしい決定をしてくれた。今日の案が一番ベストだと思う。再生に向けて改革が始まる」と話した。桜宮高を含む教職員の大規模な人事異動については「市教委がしっかり考えてくれるだろう」と期待した。体育系学科は全員がスポーツの部活動に所属しており、同校の伝統が途切れることになるが、受験生に配慮し、試験科目や配点、通学区域などは従来の体育系学科と同じとする。

 また、市教委は「勝利至上主義に基づく指導を排除する」などとした4項目の桜宮高の改革プランも併せて決定。変更後の普通科のカリキュラムはプランに沿った内容に変わり、従来に比べ運動実技にかける時間は減る。2014年度の募集学科をどうするかは、改革プランの達成度に応じて検討。永井哲郎教育長は14年度以降、再び体育系学科に戻すこともあり得るとの考えを示した。

 入試までわずか1か月とあって、受験生を抱える中学などからは「影響が大きすぎる」と反対の声が続出したが、市教委に対して予算の執行停止までチラつかせて橋下市長が押し切った形に。文部科学省のある幹部は「首長の横暴を止めるのが教育委員会のはずなのだが」と憤った。

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