<体罰>豊川工陸上部で12人確認 転校や退学も

<体罰>豊川工陸上部で12人確認 転校や退学も
毎日新聞 2013年1月26日(土)21時9分配信

 高校駅伝の強豪校として知られる愛知県立豊川工業高校(同県豊川市)陸上部の監督を務める男性教諭(50)が体罰をしたとして、県教委が監督による部活動の指導自粛を求めた問題で、同校は26日、監督の体罰をきっかけに昨年4月以降、部員2人が転校や退学をしていたことを明らかにした。この期間には他にも部員10人への体罰が確認されたという。

 記者会見した竹本禎久校長らによると、監督は昨年7月下旬、長野県での高地合宿の際、男子部員の頬を両手で2回たたいた。その際、手が耳に触れ、部員は鼓膜に全治約2週間のけがをした。監督は「意識がもうろうとしていたのをはっきりさせようとした」と説明したという。その後、部員は部活動から遠ざかり、9月に転校した。また同年10月には、他の部員の前で数回の平手打ちを受けた女子部員が12月末に退学したという。

 今月11日に県教委から指示を受け、同校が全校生徒に体罰の有無を尋ねるアンケートをした結果、陸上部員10人に対し平手打ちや足蹴りなどの体罰があったことがわかった。複数回の体罰を受けたと申し出る部員も複数いた。監督は学校に対し「指導の一環で体罰ではない」と説明したが、同校は体罰と判断。退学・転校のケースを含め、部員計12人への体罰があったと25日に県教委に報告した。

 竹本校長は「あってはならないこと。反省したい」と述べた。体罰後の退学・転校を県教委にすぐに報告しなかったことについては「保護者や生徒の意向を優先させた」と釈明した。

 同校は26日の陸上部員の保護者会で経緯を説明。保護者からは「駅伝の全国大会出場には監督の力が必要」などと監督続投を求める声がほとんどだったという。監督の指導は自粛するが、陸上部の活動は継続する。

 一方、会見では、同校の男子バレー部顧問の男性教諭が部員に平手打ちをしたほか、別の男性教諭が教室で生徒に平手打ちをしていたことも明らかにした。【稲垣衆史、丸林康樹、鈴木英世】

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