<大阪市長>体罰やいじめの調査権限 条例成立

<大阪市長>体罰やいじめの調査権限 条例成立
毎日新聞 2013年3月1日(金)21時16分配信

 体罰やいじめなどの重大事案が起こった際、市長が自ら調査できることや、教育委員会などの協力義務を定めた「市長の調査権限等に関する条例」が1日、大阪市議会で一部修正の上、可決・成立した。市立桜宮高校で昨年12月、男子生徒(当時17歳)が体罰を受けた後に自殺した問題を受け、橋下徹市長が提案していた。4日に施行する。

 同様の条例は全国でも異例で、教育現場への影響を懸念する声も上がりそうだ。

 桜宮高の体罰問題では、橋下市長が1月に「こんな重大問題が起きたときに教育委員会に任せておけない。具体的な指揮命令を出せるよう条例化する」と表明。現行制度でも市長が調査を行うのは可能だが、権限を裏付ける条例制定を求めていた。

 条例は、市長から独立した教育委員会や交通局、水道局などで問題が起こった場合の市長の調査権限を規定。(1)人の生命や財産などを保護するために事実関係を明らかにする必要がある(2)法令違反の恐れがあり、住民の福祉を確保するために必要がある−−のいずれかの場合、市長が市教委などに調査を要求したり、自ら調査したり、専門家に調査を依頼できると定めた。

 また、市教委などが調査に協力する義務があることや、市長が調査結果を受けて「必要な措置」を講じるよう求めることができるとの規定も盛り込んだ。

 これに対し、市議会から「市教委の独立性を侵しかねない」との反発もあったため、大阪維新の会と公明、自民の3会派が協議。調査の際、市長と市教委などが事前協議することや議会に報告するとの規定を追加し、3会派の賛成多数で可決した。

 橋下市長は「条例を作らなくても調査はできるが、どこまでできるかあいまいだった。権限を拡大するのではなく、明確化する条例だ」と話した。【林由紀子】

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