背任の学園理事、融資返済は見せかけか 山林所有権移転せず

背任の学園理事、融資返済は見せかけか 山林所有権移転せず
産経新聞 2013年3月7日(木)14時48分配信

 学校法人・樟蔭東学園(大阪府東大阪市)をめぐる不正融資事件で、理事の小山昭夫容疑者(81)=背任容疑で逮捕=が融資を受けた現金4億3千万円を学園に返済した後も、返済分として渡していた山林の所有権が学園に帰属したままであることが7日、関係者への取材で分かった。

 学園は「必要な書類を押収され、手続きができていない」としているが、実際には現金は返済したと見せかける“見せ金”だった可能性があり、大阪地検特捜部で調べを進めている。

 小山容疑者と学園は平成23年12月、融資総額から先に返済した5千万円を除いた4億3千万円について、小山容疑者が堺市に所有する山林(約17・5ヘクタール)で代物弁済する契約を締結。所有権は学園に移転した。

 代物弁済に対し、文部科学省は24年3月、「不適切」だとして現金で回収するよう学園を指導。さらに特捜部が同年10月に背任容疑で学園事務所などを家宅捜索すると、小山容疑者は翌11月、現金4億3千万円を学園の口座に入金した。

 学園は同年12月、代物弁済契約を解除するという内容の合意書も作成したが、現在も山林は学園が所有する形になっている。

 また、小山容疑者が返済した5千万円は、学園の預金通帳を担保に入れた上で知人から借りた1億円を原資にしていたことも判明。私立学校を管轄する大阪府私学・大学課は「自らの債務返済のために債権者である学園の預金を担保に取るのは問題だ」としている。

東大阪市の学校法人「樟蔭東学園」(高橋努理事長)が顧問の小山昭夫氏(80)に運営資金から計4億8000万円を不適切融資した問題で、小山氏が07年に学園の人事権を得るために使った2億円は、自身が理事長を務め、民事再生法の適用を受け経営再建中だった学校法人「東北文化学園大学」(仙台市)の運営資金を無断流用したものだったことが分かった。関係者は「経営再建中の学校の資金を私的流用するのは許されない」と批判している。

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