<やらせ受験>大産大元理事長、圧力で告発を阻止

<やらせ受験>大産大元理事長、圧力で告発を阻止
毎日新聞 2013年3月21日(木)2時32分配信

 大阪産業大学(大阪府大東市)が入学意思のない生徒の受験を付属高校に依頼し、高校が謝礼を支払っていた「やらせ受験」問題で、大産大の元理事長が2011年、文部科学省に内部告発しようとした付属高の元教頭の再就職先を訪問し、元教頭が告発を断念していたことが分かった。大産大はこの時に問題を把握しながら、解明を棚上げしていた。今月19日にようやく第三者調査委員会が設置されたが、関係者の証言から、その閉鎖的な体質が浮かび上がる。

 付属高の元教頭は11年9月、「やらせ受験」を文科省などに内部告発すると伝える手紙を、大産大側に送った。関係者によると、大産大の元理事長は翌月、元教頭が再就職していた大阪府内の私立大の幹部を訪問し、「学校の金を勝手に(生徒への謝礼として)配ったということになれば(元教頭を)横領容疑で告訴するかもしれない。そのことを知っておいてくださいね」と伝えたという。

 この訪問後、元教頭は私立大幹部から「(元理事長には)世話になっている」と言われたといい、「抑えておけ、という意味だと感じた」と話す。結局、「勤務先に迷惑がかかる」と考え、内部告発を断念した。一方、元理事長は、元教頭をけん制する目的の訪問だったことを否定しているが、「大産大に頼まれた」と認めた。

 この頃、付属高は元教頭の手紙に基づく調査を開始。大産大が高校に支出した入試問題の点検手当の一部が使途不明になっていることが判明した。ある教員は高校幹部から事情を聴かれた際、「手当が生徒の謝礼に流用されたのは先生の想像でしょう?」「生徒に日当を支払った記録は残っていない」などと言われ、問題を隠蔽(いんぺい)しようとしていると感じたという。別の教諭2人は幹部に対し、生徒への謝礼を認めたが、こうした事実は約1年半、明るみに出ないまま封印された。

 大産大では近年、学校経営を巡る不祥事が後を絶たない。09年には資産運用で数十億円の損失が出たことが発覚し、調査委は昨年3月、元理事長ら幹部3人に賠償請求すべきだと結論づけた。だが、1年後の今も賠償されていないという。ある教授は「学内で問題を指摘する声が上がっても自浄作用が働かない」と閉鎖体質を問題視する。

 在学生からもため息が漏れる。デザイン工学部1年の男子学生(19)は「子供に金を渡して受験させるなんて信じられない」と首をかしげた。人間環境学部1年の男子学生(19)は「不祥事が大きく報道されて学校の評判が悪くなる。就職活動に響かないか心配だ」と眉をひそめた。【原田啓之】

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