竹田高剣道部の熱射病死:救護せず暴行の顧問ら、なぜ責任問われぬ 判決、両親に無念さ /大分
毎日新聞 2013年3月22日(金)15時42分配信
「無念を晴らせたとは思っていない。剣太を殺した顧問と副顧問が国家賠償法で守られているのを一番崩したかった」。竹田高2年だった工藤剣太さんが09年、剣道部の練習中に熱射病で死亡した事故で、21日の大分地裁判決は県と豊後大野市に賠償を命じた。しかし、意識が混濁する剣太さんを救護するどころか、腹を蹴り、10回も顔を平手打ちした当時の顧問と、それを見過ごした副顧問の賠償責任は問われぬまま。父英士さん(48)は県弁護士会館での記者会見で厳しい表情を崩さなかった。
母奈美さん(40)は弁論のたび、長男の死と向き合い、「つらい裁判でした」と声を詰まらせた。「『剣君ごめんね。先生たちに責任を負わせられなかった』と報告する」と無念さをにじませた。
判決は「地方自治体が賠償責任を負う場合、公務員個人は責任を負わない」としたものの、顧問らの行為が死に直結したことは明確に認定した。原告代理人の徳田靖之弁護士は「法や判例の壁はあったが、裁判所なりに遺族の気持ちを受け止めようとしている」と総括。亀井正照弁護士は「学校側が『先生にお任せ』では聖域ができる。教員は自分の指導が間違っているかもしれないと問題意識を持たねば」と語った。【浅川大樹】
3月22日朝刊