保護者からの徴収金、学校運営に 県立高93校で1億円超

保護者からの徴収金、学校運営に 県立高93校で1億円超
@S[アットエス] 2013年3月29日(金)8時9分配信

 県立高校93校で支出されたPTA会費や後援会費の学校徴収金のうち、各校が「援助を受けた」と認識している金額が計1億円超に上ることが28日、県監査委員の2012年度調査で分かった。保護者からの巨額の学校徴収金に頼る学校運営の実態が浮き彫りになり、県監査委員は「公平感に欠ける」と問題視している。
 学校への財政支援として支出された学校徴収金の一部は公費負担すべき経費などに充てられ、徴収額の学校間格差が10倍以上ある実態も判明した。
 93校で徴収されたPTA会費の合計は11億2034万円、後援会費は8億6468万円(一部は11年度会計)。うち、PTA会費2364万円と後援会費8千万円について、各校が監査に対し援助を受けたと報告した。
 県監査委員は「1億円に上る徴収金の支援が無いと学校運営に支障が出て、徴収金額の格差も大きい実態は公平感に欠ける」と指摘。保護者負担と公費負担の線引きの曖昧さが、学校徴収金が巨額になっている要因との認識を示している。
 財政支援としての学校徴収金の一部は、部活動大会引率や大学説明会への参加などの職員の旅費をはじめ、体育館の照明器具取り換えなどの施設費や図書館や進路室のパソコン、書道実習用トレー、理科実験用の薬品などにも充てられていた。
 各校の生徒1人当たりの徴収金額(年額)はPTA会費の最高が3万1200円、最低は2400円、後援会費は最高2万6400円、最低1200円だった。商業や工業、農業などの専門高校が高くなる傾向があった。

公費負担とすべき支出県教委が基準通知
 県立高校の学校徴収金の一部が公費支出すべき経費に充てられていた問題で、県教委は28日、学校運営における公費支出の基準を策定し、県立学校114校に通知した。原則公費負担すべき経費を「学習指導、生徒指導、進路指導などの活動やその事務」と定義。事例として、学校が実施する講演会の講師報酬、建物本体の構造への影響を改善する学校施設の修繕、学校が主体的に計画した活動の職員旅費などを記載した。
 学校教育課は「教育課程に関わる支出は公費という考え方で基準を策定した」としている。
 一方、部活動やPTA行事などに関係する経費は徴収金からの支出を認めた。例えば、平日の学校行事としての部活動遠征は公費負担だが、保護者が主体となって計画した遠征で職員の旅費を徴収金で支出することは可能としている。

静岡新聞社

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