<いじめ>男子中学生、作文で被害示唆 担任気付かず

<いじめ>男子中学生、作文で被害示唆 担任気付かず
毎日新聞 2013年4月11日(木)7時42分配信

 佐賀県鳥栖市の市立中学校の男子生徒(13)が同級生らから暴行を受けたり、現金約70万円を脅し取られるなどしていたいじめ問題で、男子生徒が被害をほのめかす内容の作文を担任教諭に提出していたことが分かった。学校側がいじめの事実を把握する約1カ月前で、この間、首を絞められるなどの被害をを受けていた。保護者によると、生徒は「学校に向けた精いっぱいのSOSだった」としているが、担任は気付かなかったという。

 作文は原稿用紙(400字詰め)4枚。昨年の夏休みの宿題で、担任の女性教諭が「人権」をテーマに出題していた。生徒は「いじめをなくしたい」のタイトルで日ごろ受けているいじめについてつづり、昨年9月の新学期に提出した。

 冒頭「いじめというひどいものをなくしたい」と明記。続いて▽「集団で1人をたたいたりけったり、悪口を言ったり」▽「手紙に悪い内容の事をかいて机の中や、くつばこにおいていたり」▽「自殺までいったら責任がとれるのか」▽「見て見ぬふりをする人が一番ダメ」−−などと書いていた。自分が被害者であることには触れず、ほのめかす内容にとどめていた。

 いじめは約1カ月後の昨年10月、別の同級生が学校側に訴え発覚。鳥栖市教委は先月、記者会見し、生徒が昨年4〜10月に同級生ら13人からいじめを受けていたと発表した。発覚直後から生徒は心的外傷後ストレス障害(PTSD)で欠席。担任が生徒の自宅を訪ね、作文などを両親に返却した際「いじめに気付かなかった」と謝罪したという。

 校長によると、作文は担任が保管しており、いじめ発覚後も報告はなかったという。学校の調べに担任は「提出時の生徒の様子に異変はなかった。他の生徒の作文にもいじめをテーマにしたものがあった」と話したが、事実関係の確認などはしていなかった。校長は「もっと早く気付くべきだった」と釈明した。

 また、同校では毎月、いじめに関するアンケートを行っているが、生徒の母親によると、生徒は同級生に仕返しされるのが怖くて書けなかったという。母親は「先生にいじめに気付いてほしいと思いながら作文を書いたようだ」と話した。【田中韻】

 男子生徒が提出した作文の内容は次の通り。=一部抜粋

 ぼくは、いじめというひどいものをなくしたいと思っています。例えば、集団で1人をたたいたりけったり、悪口をいったり、先生がいるときだけ仲がいいふりをしたり、手紙に悪い内容の事をかいて机の中や、くつばこにおいていたりされたら、その人は傷ついて学校に行きたくなくなったり、または自殺という行為にまでいったら責任がとれるのかということがわかります。

 そして、人を傷つけておきながらこの人がやれっていったからとか、ぼくはたたいただけとか、悪口をいっただけなどと、言いわけを言いだす人がいますが、そんな言いわけをいうぐらいなら、最初からしなかったらいいと思います。

 そして、人がこうやって傷つけられている人を、また見て見ぬふりをする人が一番ダメだと思います。勇気を出して、やめるように止めてあげたり、大丈夫などと優しく声をかけてあげれば、とってもいいと思います。それでもまだ傷つけられてしまった場合にはちゃんと担任の先生や近くにいる先生を呼んで止めてもらえばいいと思います。

 でも、やっぱり傷つく人の一番いやな傷つけられかたは「あだ名」だと思います。自分がつけられてうれしいあだ名ならいいけど、バカとかちょっといやな自分がもしその呼ばれ方で呼ばれたらいやなのを人にそうやって呼ぶというのはとってもいけない。

 そして「おまえ、先生にすぐちくる(報告する)」と、ひやかす人がいますが、それは全くちくりということではないと思っています。

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