<桜宮高体罰>大阪市の「公益通報制度」役割果たせず

<桜宮高体罰>大阪市の「公益通報制度」役割果たせず
毎日新聞 2013年5月1日(水)22時16分配信

 体罰を防ぐ「最後の砦(とりで)」は機能しなかった。1日公表された大阪市立桜宮高校の体罰問題に関する最終報告書は、体罰を受けたバスケットボール部の男子生徒(当時17歳)が自殺する前年、市民から寄せられた情報を生かせなかった市の公益通報制度を厳しく批判した。市教委と学校の「なれ合い」の果てに、制度は役割を果たせなかった。

 「やらなくていい」。当時の校長は、市教委の指導主事に最後は声を荒らげたという。

 報告書によると、2011年9月、バスケ部顧問の体罰を指摘する情報が、市の公益通報制度を通じて寄せられた。指導主事は、教員だけに事情を聴いて「体罰はなかった」とする校長に、生徒にも聞き取り調査をするよう電話で求めた。しかし、拒否し続ける校長に、最後は折れてしまう。「分かりました」。説得を断念し、報告を追認した。

 この校長と指導主事は同じ職場で勤務したことがある先輩・後輩の関係だった。市教委に所属する約130人の指導主事は全員が教員出身。校長への指導や助言を担当し、体罰が起きた際は調査も担うが、大半は数年ごとに学校現場との往復を繰り返す。市役所で会見した外部監察チームの西島佳男弁護士は「指導主事と校長との個人的な関係で、生徒への聞き取りが徹底されなかった。体罰の情報が途中で止まってしまうことが問題だ」と話し、教員という「身内同士」による調査を批判した。

 公益通報を担当する公正職務審査委員会の問題点も浮かび上がる。生徒からの聞き取りについて、審査委の事務局を務める市総務局は当時、実行できないなら理由を明記するよう指摘したが、結局その記載がない審議資料を審査委に提出。校長が拒否した事実を伝えられないまま、審査委は「不適正な事実は確認できない」と結論付けた。しかし、詳細な議事録を作成していないため、審査委で議論があったかも分からず、委員長も外部監察チームの調査を拒否したという。

 会見に同席した永井哲郎教育長は「事件を防げる大きな機会を逃した事実は重い。指摘を厳しく受け止め、報告を上げるルートを含めた仕組みを作り直さないといけない」と話した。【茶谷亮】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする