職員1000人、3泊4日上海旅行! 鹿児島県が仰天プラン

職員1000人、3泊4日上海旅行! 鹿児島県が仰天プラン
産経新聞 2013年6月7日(金)7時55分配信

 ■総事業費1億1800万円 給与削減の補填か

 鹿児島県(伊藤祐一郎知事)が、県職員千人に「海外研修」名目で3泊4日の上海旅行をプレゼントする“仰天プラン”を打ち出した。県は、中国東方航空と日本航空が共同運行する鹿児島−上海便を維持するためだと説明するが、それならば民間企業や学生の交流事業などを支援すればよい。事業費1億1800万円。その財源は政府の求めに応じて削減する県の特別職や管理職の給与や手当1億3千万円を充当するそうなので事実上の給与補填(ほてん)と言えなくもない。6月補正予算案に盛り込み、7日開会の定例議会に提出するというが、こんな「公務員天国」構想に県民は納得するのか?(谷田智恒)

 ◆お一人様11万8千円

 「鹿児島−上海線の利用状況が低迷していることなどを踏まえ、同路線を利用した千人規模の職員研修を実施することとした」

 鹿児島県が、「上海派遣短期特別研修事業」と銘打ち、6月補正予算案に必要経費1億1800万円を計上したのは5月29日だった。

 県によると、派遣するのは一般行政職と教職員各500人の計千人。20回にわけて50人ずつを3泊4日の日程で上海へ派遣する。

 必要経費は、現地での宿泊ホテル代1万2千円(4千円×3泊)、航空運賃4万円に、チャーターバスや通訳の料金などを加えて一人当たり11万8千円と弾いたそうだ。

 これらをすべて県が負担する上、研修中は「公務出張」扱いとなるため、派遣期間中の給料も支払われる。補正予算案が県議会で可決すれば、7月から研修を開始する方針だという。

 民間ツアーならば上海3日間の旅で3万〜7万円が相場だとされ、あまりにも割高。県はプレスリリースで「成長が著しい上海の産業や都市基盤、教育などの状況を直接、体験するプログラムを通じて改めて職員の国際感覚や幅広い視野の醸成などを図る」と説明するが、説得力に乏しい。

 しかも財源は、政府の求めに応じて削減する県の特別職や管理職の給与や手当1億3千万円を充当する方針。これも6月補正予算案に盛り込まれ、「知事等の給与の特例に関する条例案」などと合わせて定例議会にかけるが、せっかく浮いた財源を職員に還元するならば財政再建にはならない。

 ◆知事、減便に焦り…

 「鹿児島県庁は研修名目で上海便を使って中国に職員千人を派遣する。全額県費で千人単位で出そうと思っています」

 伊藤知事がこんな構想を打ち出したのは5月14日、鹿児島空港国際化促進協議会総会だった。

 鹿児島空港(鹿児島県霧島市)に上海直行便が就航したのは平成14年8月。中国東方航空と日本航空の共同運航便が週4往復運航し、利用者数も順調に推移してきたが、昨夏の中国での反日暴動後、利用客は激減した。23年の利用客は1万9761人(搭乗率55・4%)だったが、昨年は1万6989人(同47・5%)と、搭乗率が5割を下回り、過去最低となった。

 そこで中国東方航空などは3月から週2往復(水・土)に減便させた。「このままでは定期便が消えてしまうかも知れない」。焦った伊藤氏が思いついたのが、税金による“損失補填”だったわけだ。

 ただ、それだけではあるまい。旧自治省出身の伊藤氏は現在3期目。すでに盤石な基盤を築き、鹿児島県は「伊藤王国」とも揶揄される。海外研修構想をトップダウンで決めたのは、4期目をにらみ、人件費削減に不満タラタラの自治労や日教組などにおもねったとの見方もある。

 「発展を続ける上海を職員が視察することは誘客対策や農産物輸出などを進める上でも重要です。上海便維持にもつながり、一石二鳥の効果があります」と県人事課行政管理室の担当者。県交通政策課の担当者も「路線がいったんなくなると復活は容易でない。今後、中国から利益を上げるインフラを維持するための先行投資です」と力説するが、あまり説得力はない。

 利用客が減ったのは、沖縄・尖閣諸島をめぐる中国の強硬姿勢により日中関係が悪化したからであり、日本人に嫌中感は広がるばかりだ。県職員が大挙して押し寄せてもどうなるものでもない。

 ◆賛否の意見飛び交う

 唐突に突きつけられた県職員の海外研修構想をめぐり、県議会(51議席)で35人を占める自民党県議団も賛否は分かれる。

 「中国とは政治的には相いれないが、鹿児島にとって農産物を売る最大のマーケットだ。県職員に現地事情を学ばせる意義や路線を守らねばならないことは理解できる…」

 自民党の県議はこう語り、苦渋の表情を浮かべた。「といっても、いきなり『千人を上海へ派遣します』といわれても…。県民の納得が得られる打ち出し方をすべきだった」

 だが、県民を納得させるのは容易ではない。市民オンブズマン鹿児島の小原重雄代表(86)は「県財政は借金を抱え、よい状態でないのにもってのほか。知事は公金を使って行う海外研修のメリットをしっかりと県民に説明すべきだ。県議会の良識ある判断に期待したい」。あるタクシー運転手は「県職員が税金を使っていくのはどうかと思うが、われわれは飛行機が飛んでこないと仕事にならないし…」と複雑な表情を浮かべた。

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