教職員不祥事の予防策議論 県委員会 「組織の欠陥」厳しい指摘も 長野
産経新聞 2013年6月18日(火)7時55分配信
県と県教育委員会の「教員の資質向上・教育制度改善フォローアップ委員会」の初会合が17日、県庁で開かれた。委員会は、教職員の不祥事防止に向けて「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」が3月に出した提言の実施状況を管理するため、第三者機関として設置された。しかし、提言後も教職員不祥事が相次ぐ状況に、委員からは「組織として欠陥があるからだ」と指摘する厳しい意見も飛び出した。
委員会は検討会議の各部会長ら6人で構成し、委員長に検討会議座長の赤羽貞幸信州大副学長を選出。冒頭、出席した阿部守一知事は「提言を実行に移す実践段階。行政の立場から見たスピード感ではなく、子供たちに軸足を置いたスピード感で取り組まなければならない」とあいさつした。
続く意見交換では、不祥事再発防止に向けた約60項目にわたる提言を、46項目に整理した行動計画のたたき台について議論。この中には、懲戒処分を受けた教職員に対する研修や、異動時の不祥事内容の引き継ぎなど実施済みの項目をはじめ、教員の研修体系作成など一部着手した項目、不祥事の通報・相談体制の整備などこれから検討する項目が示され、実施時期についての工程も示された。
これに対し、委員からは「緊急の問題であり緊張感を持って取り組むべきだ。教育委員会のガバナンス(統治)が最優先の課題」「子供たちを第一に考える共通認識を持った工程表にすべきだ」「危機感といっても『調整』や『検討』という言葉が並んでいる」など、たたき台から施策実施のスピード感が見えてこないことに対するいらだちの声も上がった。
また、全教員のコンプライアンス(法令順守)に対する意識調査を求める意見も上がり、赤羽委員長は終了後の取材に「厳しい意見が出たのは、各委員が不祥事防止への取り組みが動き出していることを確認したいからだ。何らかの方法で教員への意識調査は必要だと思う」との考えを示した。