<高2自殺1年>母「学校の体質を変えたい」 兵庫・川西
毎日新聞 2013年9月2日(月)15時5分配信
兵庫県川西市で昨年9月、いじめを受けていた県立高校2年の男子生徒(当時17歳)が自殺してから2日で1年。生徒の母親(55)が命日を前に毎日新聞の取材に応じ、「息子の死を無駄にしないよう、学校などの体質を変えたい」と語った。また、「息子の選んだ道は間違っている。悩んだら、絶対的な味方である親を頼ってほしい」と呼びかけた。
あの日の前夜、いつも通り食卓を囲んでいた。夫の焼いたステーキに「おいしいね」と笑顔を見せた息子。翌日夜、外出先から帰った母親が見たのは、トイレで首をつった息子の無残な姿だった。
息子の異変を感じ取ることができなかった。学校による同級生のアンケートで、3人の生徒から「虫」や「菌」と呼ばれ、教室の椅子に蛾(が)を置かれていたことが分かった。ショックだった。しかし、学校側はいじめと自殺の因果関係を認めなかった。
納得がいかず、学校での事故・事件の遺族でつくる「全国学校事故・事件を語る会」に参加し、子どもを亡くした親と語り合うことで支えられた。
少し前進したこともある。同級生のアンケート結果について、県教委はプライバシーを理由にパソコンでまとめた書類しか開示しなかったが、異議を申し立てた結果、今年7月に閲覧が認められた。
「少しずつだけど、訴えることで変わる。『あなたの死で学校が変わったのよ』と息子に報告できる日まで努力したい」
この1年は毎日涙が途切れず、自責の念に苦しみ続けた。週末は親子3人でゴルフに出かける仲良し家族だった。「息子はなぜ、私たちを頼ってくれなかったのか。悩みを話してくれなかったのか」
後を絶たない、子どもの自殺にも心を痛める。悩む子どもたちに「苦しい時にはもっと親を頼って」と訴えた。そして、学校への思いをこう語った。「勉強だけではなく、子どもたちの姿をしっかり見てほしい。私たちのように、苦しむ家族が二度と出ないように」【幾島健太郎】
◇川西市の高校2年男子生徒自殺問題
2012年9月2日、兵庫県川西市の県立高校2年の男子生徒が自宅で自殺した。同級生のアンケートなどで生徒へのいじめが発覚した。市の第三者機関はいじめが原因で自殺した可能性を指摘したが、学校が設置した第三者委員会は「関連付けは困難」と結論付けた。県警は今年5月、いじめに関与したとして同級生3人を侮辱容疑で書類送検、神戸家裁で3人の審理が進む。