39年前に福井市で起きた殺人事件で、再審・裁判のやり直しが決まった前川彰司さん(59)が、再審無罪が確定した静岡県の袴田巌さん宅を訪ねました。前川さんは励ましに感謝の気持ちを伝え、2か月後の再審に向け、気持ちを新たにしていました。 ■袴田さん宅訪問の様子 「福井の前川です」 「いらっしゃい」 玄関で出迎えたのは去年、再審無罪が確定した浜松市の袴田巌さんの姉ひで子さん(91)です。 袴田巌さんは1966年、静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で逮捕され、死刑判決を受けました。その後、1981年から姉のひで子さんが中心となって再審請求を行い、2014年に釈放。そして去年9月のやり直し裁判で、再審無罪が確定しました。 前川さんはひで子さんとおよそ20年の親交があり、苦しみ続ける中で互いに励ましあってきました。 ■袴田ひで子さん 「何がともかく良かった。本当に何がともかく良かった」 ■2人のやり取り 前川さん「袴田だけが勝てば良いと思ってないと」 ひで子さん「それはそうだよ」 前川さん「僕はあの言葉を胸の中に留めて、今歩んでいます」 ひで子さん「みんな、苦しんでいるんだもん」 ■袴田ひで子さん 「(Q.冤罪は人から何を奪うものだと思いますか?)自由を奪う。まず自由を奪う。冤罪というのはすべからく自由を無くしてしまう」 ■前川彰司さん 「僕はとりわけ人を信じる心を奪ったと思う。生き様を残していってほしい。我々が踏襲していくわけだから」 ■袴田ひで子さん 「だから、真実を求めていけばいいの。真実を」 前川さんは再審法改正についても思いを語りました。 ■前川彰司さん 「袴田事件と福井事件も連動できたわけですから、それを再審法改正に更につなげて、多くの再審事件が救われてほしい」 前川さんは25日、静岡市内で開かれた袴田巌さんの支援者の集会で講演しました。 ■前川彰司さん 「絶望の向こう側に希望の灯が少なからず灯っているんです。少なからず再審を戦って勝利している先達がいるという現実。これを僕らは述べ伝えていくべきではないか」 多くの人から励ましを受けた前川さんのやり直し裁判の初公判は3月ごろに開かれ、即日結審する見込みです。