【プレイバック’05】別件で逮捕状も… 奈良女児誘拐殺害事件 犯人が疑われていた〝ヘンタイ余罪

10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックをいまふたたび振り返る【プレイバック・フライデー】。今回は20年前の’05年2月4日号掲載の『逮捕から3週間…「現場」に戻った殺人犯 奈良女児誘拐殺人 鬼畜の「まだまだあるヘンタイ余罪」』を紹介する。 ‘05年11月17日、奈良市内の小学1年生の女児が誘拐され、日付けが替わった深夜に変わり果てた姿で発見された。犯人として12月30日に逮捕されたのは新聞販売員のX(当時36)。Xには’91年の5歳の女児に対する強制わいせつ致傷など、複数の女児への性加害で懲役3年の実刑判決を受けた前科があった。そして逮捕された後も、いくつかの事件への関与が囁かれていたのだ(《》内の記述は過去記事より引用。年齢はすべて当時のもの)。 ◆再び現場に姿を現した〝殺人鬼〟 《幼い女児を欲望のままに殺害した男の表情は、決して己の犯した罪を悔いたものではなかった。殺人鬼は淡々とした表情で犯行の様子を語り、ときに報道陣を見やると、気味悪く薄笑いを浮かべた。 被害者・Aちゃん(7) 誘拐容疑の実況見分で、約3週間ぶりにXが姿を見せた。紺色のジャンパーにベージュのパンツ、そしてゴム長靴を履いた容疑者は、捜査員の問い掛けに時折うなずき、誘拐時の状況を説明した》 事件が起きた’04年11月17日、Xは午前中から〝幼女狩り〟に駆けずり回っていた。大阪府八尾市内で物色したが〝獲物〟は見つからず、奈良市へ。土地勘があった奈良市富雄地区で見つけて毒牙にかけたのが、学校帰りだったAちゃんだった。 取り調べでは、殺害動機などの核心部分には曖昧な供述しかしていなかったというが、犯行自体は認めており、事件の全容解明は時間の問題だと見られていた。今後の焦点は余罪となっていた。 ◆大阪府警が動いていた〝二つの事件〟 《なかでも’03年5月に大阪府熊取町で行方不明となった小4女児・Bちゃん(当時9)の事件。大阪府警は逮捕直後から捜査員を熊取町に派遣し、Xとの関係を調べていた。 「正月早々、刑事さんが来て奈良で捕まった犯人に見覚えはないかというんです。 写真も見せられました」(地元住民)》 だが、この事件に関しては、Xは事件当日のアリバイが証明されており、シロだと確認されていた。それでも大阪府警は’04年11月17日、偶然にもAちゃんの事件が発生した日にXを勤務先の新聞販売店でカネを横領した容疑で逮捕状を取っていたのだ。 《「横領は単に身柄を引っ張るための呼び水で、本当の狙いは’90年10月に起きた『豊中・小5女児殺害事件』です。当時、Xは豊中市に隣接する箕面市に住んでいたのです」(前出・社会部記者) 被害に遭ったCちゃん(当時11)は自宅の浴槽内で首を絞められて重体となり、約2ヵ月後に死亡。強盗や怨恨による犯行ではなく、変質者の所業と見られている。’90年といえば、Xが強制わいせつで捕まった翌年。さらに5歳幼女を絞め殺そうとした強制わいせつ致傷の事件前年に当たる》 本誌の取材によれば、Xの逮捕後に府警の捜査員が奈良県警を訪れ、押収物を確認していた。その中に豊中の事件に関わるものが出てきたために、府警の幹部と奈良県警の間で身柄引き渡しの交渉が行われていたというのだった。 この事件も〝鬼畜〟Xの手によるものだったのか? 疑惑は深まるばかりだった。 ◆自宅からの押収品が物語ったXの歪んだ性癖 結果的に豊中市の事件でXが逮捕されることはなかった。’05年12月9日の午前0時でこの事件は未解決のまま時効を迎えている。 奈良女児誘拐殺害事件は、Aちゃんの遺体が損壊されていたことや、逮捕前のXがAちゃんの両親に「次は妹だ」というメッセージとともにAちゃんの遺体の画像を送信したことなどから、猟奇的事件としてメディアの注目を集めた。Xは行きつけの飲み屋でAちゃんの写真を見せびらしており、それが逮捕のきっかけにもなっている。また、逮捕後に自宅から押収されたのはAちゃんのランドセルやジャンパーなどの〝記念品〟の他、大半が幼女のものである盗んだ下着約100枚、スクール水着に衣類などを詰め込んで作った〝ダッチワイフ〟など、Xの異常な嗜好を示す物ばかりだったのだ。 ‘06年9月にXは一審で死刑判決を受けた。弁護士は控訴したが、Xはそれを取り下げて10月に死刑が確定、’13年2月に執行された。 Xが過去に性犯罪を起こしていたことから、この事件をきっかけに、子供に対する暴力的性犯罪受刑者の出所予定日や出所後の所在地を法務省が警察庁に提供する制度が開始された。’06年には受刑者向けの再犯防止プログラムも始まった。しかし、子供をターゲットにした性犯罪は、SNSの普及などを背景に20年経った現在でも依然として起こり続けている。 ‘24年6月に成立した「こども性暴力防止法」により、子供と接する仕事に就く人について性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS」制度が創設された。実際の運用は’26年12月からとなるようだが子どもへの性犯罪は減るのだろうか──。

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