SNS(ネット交流サービス)を使って恋愛感情を抱かせるロマンス詐欺など日本国内であった詐欺事件に関与したとして、ナイジェリア警察が同国籍の男女11人を詐欺容疑などで逮捕した。国際共同捜査をしていた警察庁が18日発表した。ナイジェリアに国際的な詐欺グループがいるとみられる。 国際共同捜査により、国内で被害があったSNS型投資・ロマンス詐欺で、海外にいる外国籍の容疑者が摘発されたのは初めて。 警察庁によると、2022年3月~23年9月に岐阜、香川、大分、長崎、沖縄の5県で、30~80代の男女14人が計1億5000万円をだまし取られたという。 軍人や医師をかたる人物からフェイスブックなどで接触があり、その後無料通信アプリ「LINE(ライン)」で「結婚したいので日本に荷物を送りたい。税関で費用がかかる」と言われ、現金を振り込んだケースがあった。このほか著名人をかたって投資を誘うSNS型投資詐欺もあった。 警察庁サイバー特別捜査部が仮想通貨(暗号資産)に替えられた被害金を追跡したところ、少なくとも約5600万円がナイジェリアにいる13人の口座と結び付いた。 警察庁は口座の名義人などの情報を国際刑事警察機構(ICPO)を通じて24年3月にナイジェリアに提供。現地警察は同年5~7月、11人を逮捕した。大半は20~30代で、一部は被害金を「不動産購入にあてた」と供述しているという。 被害金はまず日本国内の口座に振り込まれるケースが多く、5県警は24年3月までに口座を保有していた9人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑などで摘発した。9人は主にSNSを通じて「現金を仮想通貨に替える仕事がある」と誘われていたという。【山崎征克】