宇治の小6刺殺:会見で父・恒秀さん「納得できない」−−大阪高裁判決 /京都
2009年3月25日16時3分配信 毎日新聞
「求刑(無期懲役)通りにしてほしかった。納得できない」。大阪高裁で24日あった宇治市の学習塾での小6女児殺害事件の控訴審判決。堀本紗也乃さん(当時12歳)を殺害したとして殺人などの罪に問われた元アルバイト塾講師、萩野裕被告(26)に、1審(懲役18年)より軽い懲役15年が言い渡され、紗也乃さんの父恒秀さん(46)は会見で「今後も命がある限りは闘う」と無念さを語った。
恒秀さんは、高裁が、萩野被告を「(05年12月の)犯行時は心神耗弱状態にあった」と認定したことについて、「事実認定がずさんだ、というのが率直な思い」と語った。妻由美子さん(45)も落胆した様子だったという。「毎日仏前に手を合わせているが、(紗也乃さんに判決の)報告はしない。求刑通りでも娘が帰ってくるわけではなく、当時の家族の生活が戻ってくるわけでもない」と話した。
恒秀さんは1審から公判を傍聴し続けている。この日の判決公判で萩野被告がすすり泣いていた様子については、「被害妄想的に泣いていたのではないか」と話した。昨年12月に開始された事件の被害者や遺族が刑事裁判に参加できる「被害者参加制度」についても、「(適用外のため)蚊帳の外、という印象を受けている。制度参加したかった」と話した。
一方、紗也乃さんが通っていた宇治市立神明小は24日が終了式。式ではボランティア活動で、児童の登下校を見守っている人たちを招き、中村浩之校長が「みんなの命を守ってくれています」とあいさつした。同小では毎年、事件のあった12月10日に人権集会を開いており、中村校長は「今後も児童に命の大切さを伝えていきたい」と話した。
また、萩野被告が勤務していた京進(下京区)では年2回、全事業所で黙とうをし、事件を振り返るとともに安全対策を討議している。同社は「判決の内容は司法の判断なので、コメントする立場にないが、改めてご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に哀悼の意を表したい」としている。【藤田健志】