中2飛び降り死 自殺へ修正 親に伝えず 長崎市教委 「転落死」記録を変更
2009年5月15日7時8分配信 西日本新聞
長崎市立中学校で2004年に起こった2年生の安達雄大君=当時(14)=の飛び降り自殺をめぐり、両親が、当初「転落死」扱いしていた市教委に自殺と認めるよう求めたのに対し、市教委は両親に報告しないまま公的記録を「自殺」に変更、1年9カ月間にわたって知らせていなかったことが14日、分かった。
雄大君は04年3月、校内でたばこを持っているのを担任の男性教師に見つかり、掃除道具入れの中で注意された直後、校舎4階の窓から飛び降りて亡くなった。
市教委は事故後、死因を「転落死」とする報告書を県教委に提出。両親は05年9月に死因を「自殺」と修正するよう市教委に文書で要望する一方、06年8月に市に約9000万円の損害賠償を求めて提訴。08年6月の長崎地裁判決は、両親の請求は退けたものの、自殺と担任の指導との因果関係を認めた(両親が控訴せず確定)。
一方、両親は08年9月、国の統計で03年度における長崎県の公立中学生の自殺者数が「0」から「1」に変わっていることを知り、市教委に説明を要求。市教委は08年10月、07年1月の文部科学省の調査に対して雄大君の死因を「自殺」として報告したことを、初めて両親に伝えた。
市教委健康教育課の鳥巣勝秀課長は「自殺とする警察の判断に合わせた。訴訟が係争中だったため、両親には伝えなかった」と釈明。一方で判決確定後も伝えなかったことについて「確定しても伝える考えはなかった」としている。
母和美さん(47)は「単なる数字の問題ではない。かけがえのない命の情報ということを考えてほしい」と批判。両親は市教委が文科省調査に対し、自殺原因を「その他・不明」としている点も問題視、「教師の叱責(しっせき)」に修正するよう求めていく。
=2009/05/15付 西日本新聞朝刊=