【津】三重県の津市発注の水道修繕工事をめぐり、職員2人が収賄罪と詐欺罪で起訴されたことなどを受け、津市の前葉泰幸市長は25日の定例記者会見で、新年度からコンプライアンス(法令順守)体制と研修の強化に取り組むと発表した。コンプライアンス責任者を各課に配置するほか、技能員に特化した研修などを実施し、全庁挙げて法令順守に取り組む。 市では自治会問題を受けて令和3年に内部統制室を設置、同年「市公正公平な市政の確保に関する条例」を制定するなど、不当要求への対応やコンプライアンス意識向上などに取り組んできた。 一方で、4年にボートレース事業部職員が収賄容疑で逮捕され、今年に入り上下水道局の職員2人が収賄罪などで起訴。2月には市教委教育研究支援課長が覚醒剤取締法違反で逮捕された。 一連の不祥事を受け、あらためて法令順守の徹底と強化に取り組むことにした。市では不十分だった点について洗い出した結果、全庁的に徹底できていなかったと判断した。 特に、起訴された2人が技能員で、現場対応が多い技能員は他職種に比べ研修が限られ、受講機会が少なかったとする。そのため、技能員がおかれた現場事情を勘案した上で、利害関係者との禁止行為に関する研修を行うことにした。 コンプライアンス責任者は各課所属長の課長を充て全部局に配置、総勢180人が見込まれる。職場内での意識向上の中心的な役割を担う。責任者向けの研修も実施する。ほかに全職員に向け、不祥事案の状況と要因などを全職員で情報共有し、動画研修を行う予定。 前葉市長は「(一連の不祥事を受け)津市職員として全員が法令順守の意識を強く持つ必要があるとの反省がある」と強調。「まずはコンプライアンス責任者に対ししっかり研修し、体制強化を図る」と述べた。 技能員については、政策決定などにかかわる権限を持たず、利害関係者らとの接触機会があまりないとの判断だっため、研修などが少なかったと説明。その上で、収賄事件ではその技能員が権限を行使していたとし、「想定していなかった事態だったが、それも踏まえて法令順守の意識を全庁的に徹底する必要があると判断した」と述べた。