米ニューヨークで昨年12月、大手保険会社の最高経営責任者(CEO)を射殺したとして逮捕されたルイージ・マンジオーニ被告(26)について、ボンディ米司法長官は1日、「熟慮の結果、死刑を求刑するよう検察官に指示した」とする声明を出した。暴力犯罪に対抗するトランプ大統領の「米国を再び安全に」政策の一環だとしている。 マンジオーニ被告はマンハッタン中心部で、ユナイテッドヘルスケアCEOのブライアン・トンプソン氏(当時50)を射殺したなどとして、州法と連邦法に違反した罪に問われている。米CNNによると、州法違反の罪については罪状認否で無罪を主張。死刑の可能性がある連邦法違反の罪については、大陪審による起訴はまだなされていない。 ボンディ氏は声明で、今回の事件について「計画的で冷血な殺人で、米国を揺るがした」と指摘。「政治的暴力だ。相当な計画性を持った行動で、近くに人がいる公衆の場で行われ、別の人が命を落とす恐れも大きかった」と述べた。 トランプ氏は今年1月、死刑執行に消極的だった前政権から一転し、忠実な執行を命じる大統領令に署名している。 被告は事件後に5日間逃亡。逮捕時、利益を優先する医療会社を批判する内容が書かれた文書を持っていたことなどが報じられ、SNSなどでは被告を英雄扱いし、支援をする動きも起こっている。 米CNNによると、死刑が求刑されうる事件の弁護を数多く経験している弁護士が、2月から被告の弁護団に加わっているという。(ニューヨーク=田中恭太)