(放送コラムニスト:高堀冬彦) フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は3月27日、両社の取締役相談役だった日枝久氏(87)が退任する新役員人事を発表した。代わりに女性と若手を登用するのが特徴である。 これにより、FMHとフジは中居正広氏(52)から元女性アナウンサーへの性暴力に端を発した混乱の幕引きを図るつもりだった。だが、思惑どおりにはいきそうにない。 ■ デスロードに続く道を選んだ港氏と大多氏 まず、4月4日にはフジ出身の関西テレビの大多亮社長(66)が辞任。中居氏による性暴力があった当時、大多氏はフジの編成制作担当の専務であり、元女性アナのケアを考え、中居氏の出演番組の扱いを決める立場にあった。 大多氏は中居氏による性暴力の報告を受けると、当時のフジ社長・港浩一氏(72)と対応を協議。2人は調査を尽くさぬうちに「プライベートな男女間のトラブル」と決めてしまった。これがフジの“デスロード”の始まりだった。 第三者委もこの決定が間違いだったと判断。「『業務の延長線上』における性暴力」と認定した。中居氏と元女性アナの関係は単なる番組の共演者であり、その距離を縮めようとしたのは前編成部長なのだから、当然だろう。 港氏と大多氏は性暴力のあとも中居氏をレギュラー番組『だれかtoなかい』の放送を続けた。この番組は前編成部長が制作統括を務めていた。 前編成部長は性暴力から1年2カ月後の昨年8月、元女性アナが依願退職すると、中居氏にショートメールで報告した。元女性アナは性暴力を受けたあと、画面に復帰できぬままフジを去った。 メールを受けた中居氏は「了解、ありがとう。ひと段落ついた感じかな。色々たすかったよ。」と返信。前編成部長は「ひと段落かなと思います。引き続き、何かお役に立てることがあれば、動きます!」とメールを返した。 これでは視聴率の獲れる中居氏を守ること優先し、女性アナを斬り捨てたと見られてもやむを得ない。前編成部長を監督する立場にあったのも大多氏である。