【AFP=時事】第2次世界大戦中のナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)関連の犯罪で、ドイツで有罪判決を受けた最後の人物と見られる元強制収容所の秘書が、99歳で死去した。裁判が行われたドイツ北部イツェホーの裁判所が7日、明らかにした。 イルムガルド・フルヒナー被告はナチス占領下のポーランドにあったシュトゥットホーフ強制収容所で秘書として働き、1万人以上の殺害に関与したとして、2022年に執行猶予付き禁錮2年の判決を言い渡された。ナチス時代の犯罪で女性が起訴されるのは、ドイツでは数十年ぶりだった。 フルヒナー被告は1943年6月から1945年4月にかけて、同収容所のパウル・ベルナー・ホッペ司令官の口述筆記と通信業務を担当していた。被告の夫もナチス親衛隊(SS)の将校として、同じ収容所で勤務していた。 現在のグダニスクに近い同収容所では、推定6万5000人が死亡した。 2022年に判決を下したドミニク・グロス裁判長は、シュトゥットホーフで起来ていたことや「囚人たちが極めて劣悪な状況に置かれていた」ことを被告は認識していたと指摘した。 フルヒナー被告は2021年9月に裁判が始まる直前、入居していた高齢者施設から逃亡を図り、数時間にわたって警察の追跡を逃れたが、近隣のハンブルク市で逮捕された。 しかし、裁判が終わりに近づくと「起こったすべてのことについて申し訳なく思っている」と法廷で述べ、後悔の意を表した。 フルヒナー被告は当時10代だったため、裁判は少年裁判所で行われた。 大戦終結からおよそ80年が経過し、ホロコーストに関与した犯罪者を裁くための時間は残り少なくなっている。近年では、被告の死亡や健康上の理由により、裁判が断念されるケースも複数ある。【翻訳編集】 AFPBB News