ストーカー教諭:県教委が停職1月処分 不祥事隠蔽「適切でなかった」 /山梨
毎日新聞 2011年3月24日(木)12時52分配信
09年2月までの約2カ月間、教え子の3年の女子生徒に連日深夜までメールを送りつけるなどストーカー的行為を繰り返した上、同年3月にも男子生徒に書類の片づけを手伝わせて全3年生の成績表を流出させた甲府市立中の50代の男性教諭について、県教育委員会は23日、地方公務員法が禁じた信用失墜行為と守秘義務違反に当たるとして、停職1月の懲戒処分にした。【中西啓介】
県教委によると、教諭は08年12月後半〜09年2月下旬、顧問だった卓球部の女子生徒にメールを計約70回送りつけた。同年3月27日には、3年生の男子部員らに生徒指導室の片づけを手伝わせ、うち2人が成績が記された「素点表」を持ち出したため、3年生160人分の成績が外部流出した。教諭は事実関係を認め、「申しわけありませんでした」と話しているという。
23日午後の定例県教育委員会後に開かれた記者会見では、堀之内睦男・義務教育課長が「県民に心配と不安、ご迷惑をかけたことを心よりおわびする」と深々と頭を下げた。
甲府市教委は先月7日、教諭の行為について「ストーカー行為を禁じた県教委の懲戒指針に触れる」と報告していたが、県教委事務局側は教諭がメールを送り付けたことが、学校内でのセクハラ行為に当たる一方、メールの内容に性的なものはなかったと判断。その上で「生徒や保護者はじめ社会の信頼を著しく損なう」と認定した。
堀之内課長によると、非公開で行われたこの日の委員会では「県民感情から考えて停職1月でいいのか」との意見が委員から出され、会議が紛糾。予定より1時間以上長引いた。最終的には事務局案が認められたという。
ストーカー的行為はで問題化したが、市教委はその後も教諭を教壇に立たせ続けた。県教委によると、この対応について複数の保護者から「問題の先生が教壇に立っていることが心配」と抗議があったという。県教委は、教諭が停職処分を終えた後も学校には戻さず、研修を受けさせる方針。
市教委内で2年間、二つの不祥事が隠蔽(いんぺい)され、処分が行われなかったことについて、堀之内課長は「適切な処理ではなかった。市教委にきちんとした対応をするよう助言した」と話した。
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◇教諭の行為と甲府市教委の対応
◆09年
08年12月末〜2月 教諭が顧問を務める部活の3年女子生徒の携帯電話に連日深夜までメール送信。2月末に生徒が担任に相談し発覚。教諭はその後も生徒宅に押しかけるなどストーカー的行為を続ける
3月上旬 市教委は学校や保護者からの通報で問題把握。当時の学校教育課長は十分に調査せず、教諭を口頭注意にとどめる
3月下旬 異動が決まった教諭が書類処分を男子部員に手伝わせ、全3年生の成績が外部流出
4月 学校教育課長が問題の起きた中学の校長に着任。成績流出問題を調査し、教諭が流出元と判明するが、市教委に報告せず
◆10年
12月21日 毎日新聞の報道でストーカー問題発覚。市教委は「当時の書類がない」と再調査開始
◆11年
1月12日 市教委が県教委にストーカー問題の報告書提出。教諭の行為を「不適切」とする一方、「当時の教委対応は適切」として懲戒処分は求めず
同日 市教委が毎日新聞の取材で成績流出問題を把握。調査開始
1月18日 長谷川義高教育長ら市教委幹部が記者会見、成績流出を謝罪
同21日 長谷川教育長がストーカー被害生徒の保護者と初面談。教諭からのメールを提供される。市教委は「新事実が分かった」と24日から再々調査
2月 7日 市教委は「ストーカー的行為に該当。懲戒指針に触れる」とする報告書を県教委に提出
3月24日朝刊