<不正経理>帯広畜産大が4億9000万円 02〜10年度
毎日新聞 2011年8月5日(金)21時39分配信
帯広畜産大(北海道帯広市、長沢秀行学長)は5日、農水省などの公的研究費を別の研究機器の購入に充てるなどした不適正な会計処理が、02〜10年度に計約4億9000万円あったと発表した。同大は不正があった研究費の全額を返還する方針。農水省は来年度から4年間、同大の研究費の応募や参加を停止する措置を取った。
帯広畜産大によると、関与していたのは現職34人と、転・退職した20人の計54教員。年度内に研究費が使い切れなかった際に、教員が研究用の消耗品や試薬などを買ったように見せかけ、業者に預け金としてプールさせたり、別の研究機器の購入費に充てるなどしていた。うち3人は国際研究集会の開催名目の経費を個人口座に入金したり、海外出張に同行した妻の旅費に充てたりし、計約3640万円を私的に流用した。
同大は昨年9月、札幌国税局から不適正な経理を指摘され、同12月に約1億5600万円の不正が判明し、教授1人の諭旨免職を含む32人を処分。その後も調査を続けていた。
長沢学長は「大学の信用を損なうだけでなく、科学研究振興体制そのものを揺るがしかねないということを強く自覚し、再発防止に取り組みたい」とのコメントを出した。【三沢邦彦】