<東北文化学園大>民事再生中に2億円融資 理事長流用
毎日新聞 2011年10月17日(月)10時26分配信
が顧問の小山昭夫氏(80)に運営資金から計4億8000万円を不適切融資した問題で、小山氏が07年に学園の人事権を得るために使った2億円は、自身が理事長を務め、民事再生法の適用を受け経営再建中だったの運営資金を無断流用したものだったことが分かった。関係者は「経営再建中の学校の資金を私的流用するのは許されない」と批判している。
複数の東北文化関係者や内部資料によると、小山氏は07年11月、民事再生中だった東北文化の運営資金から2億円を、自身が理事長を務める別の学校法人(大阪府)に融資し、同日、同法人から樟蔭東に転貸したという。理事会決議は経なかった。小山氏は融資と引き換えに樟蔭東の役員(理事、監事、評議員)選任権を取得し、理事会を掌握した。
小山氏は同月、長年代表を務めた「藍野グループ」内の医療法人の資金で東北文化に2億円を返済。コンサルタント会社も活用し、最終的には、樟蔭東の理事会に学園資産売却を決議させ、10年に全額回収したという。こうして、自己資金を費やさず樟蔭東の経営権を実質的に握った。
東北文化は大学や専門学校などを経営していたが、04年に元理事長による補助金不正受給事件が発覚した際、文部科学省の調査で200億円を超える負債が判明した。同年、東京地裁に民事再生法適用を申請。関連法人と合わせ約340億円あった債務の約8割を返済免除してもらう再建計画案が認可され、05年1月から3年間、同地裁の監督下で再建を進めていた。
小山氏は資金援助と引き換えに05年4月に同法人理事長に就任。教職員賞与を減額するなど学校全体で再建に取り組んでいたが、文科省によると、小山氏は05〜06年度にも同法人の運営資金から計7億8000万円を自身の個人病院などに融資。この際も理事会を開かず、08年1月、07年度の国の補助金を全額不交付とする処分を受けている。
文科省学校法人経営指導室は「学校資金は自校の教育・研究のために使うべきで、他校の経営権を握るために使ったとすれば問題だ」と指摘。東北文化は「一切答えない」とコメントしている。【古関俊樹、後藤豪】