「そんなにいるのか」…国歌斉唱、不起立教員8人 府立高校

「そんなにいるのか」…国歌斉唱、不起立教員8人 府立高校
産経新聞 2012年2月25日(土)9時37分配信

 「条例や職務命令は重たい。プレッシャーは相当なものだった」。卒業式を終え、大阪府立高校の校長の1人は、そう振り返った。この学校でも、国歌の起立斉唱に反対する教職員が複数おり、卒業式前に校長室で、改めて職務命令の趣旨を説明したという。

 校長は「『命令だから従いなさい』というのは、組織を預かるものとして心苦しい」と、府教委と現場教員の狭間に立たされた複雑な胸中を明かした。

 校長室では、教職員たちの方から「子供たちに、式を混乱させる姿を見せてはいけないと思っている」と語ったという。

 この日の式典では全員が起立し、安堵の表情を見せた校長は「子供たちよりも、教職員の動向がクローズアップされることは残念」とも話した。

 別の高校の男性教頭は、「全員座った状態から司会者が起立を促したが、全員きちんと起立していた。条例にはいろいろ意見があるだろうが、決まったことは従うべきだ」と話した。

 一方、不起立の教職員がいた高校の校長は「府教委の指示通りに職務命令も出し、粛々とやってきた。生徒主体の式典にしたいという思いはあったが…」と、言葉少なだった。

 今後、卒業式を行う高校の校長は、6校で8人の教員が起立しなかったという情報を府教委からのメールで知り「そんなにいるのかと驚いた」と打ち明けた。

 一方、この日の卒業式に出席した女性教諭は「『国歌斉唱』の声がかかると、参列者は全員起立して斉唱した。地域の人や来賓も参列して起立しているのに、迎える側が座っているというのは、思想云々というより、振る舞いとしてどうか」と述べた。

 そのうえで、「6校で8人が起立しなかったということは、条例の効果はあまりなかったのではないか。特に退職間近の教員なら、(処分を受けることも)怖くないのかもしれない」と話した。

 【用語解説】国旗国歌条例…橋下徹前知事時代に、地域政党「大阪維新の会」の府議団が議員提案し、昨年6月に成立した。府施設での国旗の常時掲揚と、府内の公立学校の教職員を対象に、学校行事での国歌斉唱時には起立斉唱することを義務付けている。この条例に罰則はないが、2月定例府議会に松井一郎知事が提案した職員基本条例案では、同一の職務命令に3回違反した場合の標準的な処分は、免職と規定。条例が成立すれば、4月の入学式以降は、これらの規定が適用される見通しになっている。

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