沖縄の教員、無許可兼職…県立高75%で「有料補習」

沖縄の教員、無許可兼職…県立高75%で「有料補習」
産経新聞 2012年4月11日(水)7時55分配信

 沖縄県の県立高校で早朝や放課後など通常以外の授業をした教員に、保護者から謝礼が支払われていた問題で、早朝授業は県内の75%の高校で行われていたことが10日、県教委の調べで分かった。こうした勤務時間外の「有料授業」は兼職許可を受ければ可能だが、すべての高校で受けていなかった。地方公務員法違反にあたる勤務時間中の兼職も確認され、関係者の懲戒処分は不可避となった。

 県教委によると、1時限目が始まる前の早朝に行う「ゼロ校時」と呼ばれる進学指導を昨年度実施していたのは、県内60の県立高校のうち45校。1コマの謝礼は各学校によって異なり、3千円から数百円だった。

 このうち那覇西高校では、勤務時間中に、1コマ3千円で夏期講習を実施していたことが確認された。

 県教委はさらに調査を進め、違反が確認され次第、懲戒処分を検討する。

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「小遣い稼ぎ」「無報酬が筋」と保護者ら批判 沖縄教員の無許可兼職
産経新聞 2012年4月11日(水)12時3分配信

 法令上、兼職の許可を受ければ認められているとはいえ、教員が保護者から報酬を受けて自校の生徒に授業を行うことは適切なのか。そもそも教員には、時間外勤務の認定が難しいため、月給に4%上乗せした特別手当がある。保護者や識者からは「先生の小遣い稼ぎ」「無報酬が筋」といった批判が出ている。

 「自分の生徒の補習や進学指導をするのに、お金をもらうのはおかしい」

 沖縄県の県立高校で数年前までPTA役員を務めた40代の女性は憤る。同校の保護者には毎年3月、学校側から授業料とは別に「学校校納金」の請求が来る。年間約8万円。学校の設備費などに使われた残りの約4千万円が「進路指導費」として、ゼロ校時や夏期講習を実施した教員への謝礼などに充てられるという。

 ゼロ校時は全生徒が対象で毎朝午前7時半開始。女性は「当初は塾や予備校が少ないため始まったようだが、今は多くの生徒が通っており、実質二重払いのケースも多い」と話す。学校側に選択制を提案したが、「進学実績が下がる」と拒否されたという。女性は「先生の小遣い稼ぎとしか思えない」と批判する。

 石垣市の60代の元男性教員は「昔は朝早いため、ゼロ校時をやる先生が集まらず、塾の講師に依頼したこともあったが、高くつくので結局、教員がやるようになった。そうした経緯もあり、謝礼は少しずつ上がっていった」と明かす。

 那覇西高校でも平成22年度、ゼロ校時の謝礼に約1300万円支払った。時間外勤務とはいえ、自校の生徒への進学指導に、なぜ謝礼が必要なのか。同校の前川守克教頭は「全生徒必修なのでコマ数が多い。教員も強制で、時間数を確保するためにはボランティアだけでは済まされない現状がある」と説明する。

 公立学校の教員は職務の性質上、「時間外」の認定が難しいため、時間外手当の代わりに月給に4%上乗せした「教職調整額」などの手当がある。文科省は「教職調整額もあることから、報酬を得て勤務時間と近接した早朝に学校で補習することは、世間から適切ではないと受け取られかねないので慎重に対応すべきだ」としている。

 元中学教員で東京学芸大教職大学院の今井文男特任教授は「通常授業で受験にも対応できる学力を身に付けさせるのが基本。補習や進学指導をするなら無報酬が筋だ」と指摘している。

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