熊本高3いじめ 死亡した生徒の親が県と同級生を提訴
毎日新聞 2021/5/17(月) 20:15配信
2013年4月に熊本県立高の体育大会のダンス練習を巡り、いじめを受けて自殺した3年の女子生徒(当時17歳)の母親らが17日、県といじめたとされる同級生8人に計約8300万円の損害賠償を求める訴えを熊本地裁に起こした。遺族側は「同級生はしつこくいじめを繰り返し、教職員はいじめを回避する法的義務を怠った」と訴えている。
訴状によると、生徒は13年3、4月、ダンス練習でうまく踊れなかったことを同級生から強い口調で繰り返し非難され、同じところを数十回練習させられたり「顔がきもい」などと嘲笑されたりしたとしている。生徒は同4月11日、携帯電話に「皆の言葉が痛い。視線が痛い。消えたい」などのメモを残し、自殺した。
当初、学校が設けた調査委員会が13年9月、いじめを認定しながらも自殺の原因とは「確定できない」とする報告書をまとめたが、遺族が納得せず再調査を要請。県が設置した第三者委員会は15年1月、強い口調で非難されたり、繰り返し練習させられたりした9件の行為をいじめと認め、自殺の要因の一つになったと結論付けた。
しかし、遺族によると、いじめた側の同級生については学校が名前を開示しなかったため、遺族が他の生徒への情報収集や同窓会名簿などから特定し、今回の提訴に踏み切った。
遺族側は、教職員の責任について「ダンス練習は白熱する傾向にあり、いじめは予見可能だったのに、しつこくいじめが行われている実態をまったく把握しようとしなかった」と指摘。提訴後に熊本市で記者会見した被害生徒の母親は「大切な宝をなくした心の傷は癒えない。真実を明らかにし、加害者の子供たちと教職員にはきちんと償ってほしい」と話した。
県教育委員会は取材に対し「訴状が届いていないので訴訟の詳しい内容は承知していない」などとコメントした。【栗栖由喜】
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