教員500人に体罰研修会 現場での根絶求める 宮城県教委

教員500人に体罰研修会 現場での根絶求める 宮城県教委
産経新聞 2013年3月5日(火)7時55分配信

 大阪市で顧問の教諭から体罰を受けて高校生が自殺した問題などを受け、新年度を前に県教育委員会は4日、県内の国公私立の小中学校や高校の教員ら約500人を集め、仙台市内で研修会を開いた。県教委は「体罰は愛のムチではなく暴力行為で子供たちに恐怖を植え付け、心を凍らせる」として教育現場での根絶を求めた。

 研修会では大学教授や准教授、弁護士の3講師がそれぞれ講演した。仙台大学(柴田町)の菊地直子准教授は「スポーツ指導における体罰の構造と人格形成への影響」と題して具体的な事例を紹介。部活中に教師が生徒のひざをけって靱帯(じんたい)断裂の重傷を負わせたケースなどを交えながら、「暴力のある環境は非常に閉鎖的。その中にいる人びとは何が普通なのか分からなくなり、重大性を認識できない」と指摘した。

 体罰を受け続ける弊害については、「生徒が自分で考えることを奪われる」として、信頼できる学校で保護されないことが、子供を情緒不安定な状態にさせると説明。「監督はチームの中では親のような存在。その人の愛情がなければ競技では生きていけないので期待に応えようとする。その生徒の気持ちを無視して体罰を振るうことは虐待」と強調した。自殺した生徒の兆候を見逃した事例については、「スポーツをする子は特につらい顔を見せず、ポーカーフェースを身につけている。大人はそれに注意しなければ」とアドバイスした。

 県教委は今月末までに市町村から体罰の情報を集め、処分を検討するとしている。

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