竹田高剣道部の熱射病死:「剣太の無念晴らす」 顧問らに損賠求め、両親が福岡高裁に控訴 /大分
毎日新聞 2013年4月4日(木)15時50分配信
◇国賠法厚い壁 最後まで闘う
「何の責任も負わずこの先、生きていくことに憤りを感じる」。県立竹田高剣道部の練習中、主将の工藤剣太さん(当時17歳)が熱射病で倒れ死亡した事故で、工藤さんの両親は3日、国家賠償法(国賠法)に基づき部顧問と副顧問に損害賠償を求め、福岡高裁に控訴した。なお癒えぬ怒りと悲しみを抱えた両親はその後に記者会見し、苦しい胸の内を語った。【田中理知】
工藤さんの両親は同日午前11時、福岡高裁宛ての控訴状を手に、厳しい表情で大分地裁に入った。
両親が控訴に踏み切ったのは、3月21日の大分地裁判決が顧問と副顧問について事故への責任を認めたものの、賠償責任は認定しなかったからだ。県と、搬送先の病院を管理する豊後大野市には連帯して4656万円を支払うよう命じた。
国家賠償法は、国や地方自治体の公務員が職務遂行の際に過失などで他人に損害を与えた場合、賠償責任は国や自治体が負うと定めている。地裁判決はこれに沿ったもので、法律に照らせば顧問ら個人から賠償を勝ち取るのは極めてハードルが高い。実際、担当弁護士によると、これまで公立学校内で生徒が死亡し、教諭への賠償責任が認められた例はないという。
それでも両親は地裁判決直後から一貫して控訴の意思を持ち続けていた。父英士さん(48)は会見で「顧問らに罪の大きさを分かってほしい。(国賠法を乗り越えるのは)難しいと思うが、剣太の無念を晴らすため、親としてできることは最後までしたい」。母奈美さん(44)も「(国賠法は)厚い、大きい壁だが、子の命を奪った者の責任を問いたい」と訴えた。
国賠法では、公務員に重大な過失などがあれば国や自治体が公務員に賠償を求めることもできる。「公務員に責任を問えないというのでなく、被害者救済のため財力のある国や公共団体が責任を取るという考え方」(法務省民事局)だ。
だが、担当弁護士は「上(県、市)が尻拭いするのでなく、顧問、副顧問に真摯(しんし)に向き合ってほしい。熱中症や熱射病に関する対応も当たり前のことが当たり前になっていない。同様の事案を二度と繰り返さないという方向に向かう足跡になれば」と述べ、部活動での指導の在り方に警鐘を鳴らす意義を強調した。
県教委体育保健課は「地裁判決でも顧問らの責任は問わないと認定されている」とした。
県と市は控訴しないと発表している。
4月4日朝刊
しかし、意識が混濁する剣太さんを救護するどころか、腹を蹴り、10回も顔を平手打ちした当時の顧問と、それを見過ごした副顧問の賠償責任は問われぬまま。父英士さん(48)は県弁護士会館での記者会見で厳しい表情を崩さなかった。