桐生の工事現場事故:中3労災死 「なぜ、危険な工事現場に」 両親怒り、原因解明求める /群馬
毎日新聞 2012年9月29日(土)13時2分配信
桐生市の工事現場で先月、アルバイト中に事故死した栃木県足利市立西中学校3年の石井誠人さん(14)の両親が、毎日新聞の取材に応じた。両親は誠人さんが働いていた太田市の建設会社に対し「危険な仕事はさせないと言っていたのに、なぜ工事現場に行かせたのか」と怒りをあらわにした。【松本晃】
5月上旬ごろ、誠人さんは「バイトしたい」と母親に切り出した。両親は「中学生はバイトをしちゃいけない」と強く反対。その場では了解したかに見えたが、後日、誠人さんの部屋に作業着が脱ぎ捨ててあった。
5月下旬、会社を訪ね「仕事することは賛成できない」と告げると、社長は「同い年くらいの子どももいる。仕事も缶の分別で、危ない仕事はさせない。本人の意思を尊重してほしい」と話した。両親はその日の夜、誠人さんに考え直すように説得したが「自分の欲しいものは自分で稼いで買うために働きたい」との意思は強かった。完全に認めたわけではないことを告げ「学校を休まない」ことを条件にしばらく見守ることにした最中に事故は起きてしまった。
次男の誠人さんは生まれた直後から体が弱く、そばにいる時間も長かった。母親(38)は「いつもにこにこしてて、一緒にいると笑顔になった」と思い出を語る。
中学2年になると、服装が乱れるなど、思春期特有のやんちゃな一面も見せた。だが、林間学校で、母親の手紙を渡された時「反抗期でケンカもするけどずっと見守ってる」と書かれているのを読んで、人目もはばからず涙するなど根は優しい子だったという。
事故の前日は久しぶりに家族4人そろって食事をとった。その日の誠人さんは珍しく将来の目標について話したという。「その日その日のことだけでなく、将来についても考えられるようになって成長したなと喜んだばかりだったのに……」。母親は目頭を押さえた。
建設会社の社長は誠人さんが現場に行くことを把握していなかったと話している。父親(40)は「中学生を預かっていて、知らないというのは疑問。社長として無責任すぎる」と語気を強めた。事故を受け「職業体験」としてアルバイトを許した学校や市教委に批判が集中している。だが、両親は「なぜ誠人は亡くなったのか。事故の原因を明らかにしてほしい」と訴えている。
9月29日朝刊