岐阜・可児市がいじめ防止条例 撲滅へ無関心許さず

岐阜・可児市がいじめ防止条例 撲滅へ無関心許さず
産経新聞 2012年10月3日(水)7時55分配信

 ■市長に是正要請権限「隠蔽防ぐ」

 深刻化するいじめ問題の解決を目指した岐阜県可児市条例。専門家からは「教育現場の隠蔽(いんぺい)防止につながる先進的な取り組み」と歓迎する声が上がった。いじめ撲滅は確かに難しい。周囲の「無関心」を許さないという試みが、功を奏するかに注目が集まる。

 教育評論家の石井昌浩氏は条例制定について「これまでにない取り組みだ。いじめについても『集団による無視』などと具体的に解説で示していることは、現場の教員らにとって参考になるだろう」と評価する。

 大津市の中2男子が自殺したケースでは校内アンケートでいじめを示す記載が多数寄せられながら、市教委や学校側は「いじめと自殺との因果関係は判断できない」などと抗弁。批判を浴びた。

 可児市の条例では、こうした事態への対処も想定。市長に対し学校などに対応の是正を要請できる権限を持たせており、石井氏は「事なかれ主義の現場の『隠蔽』を防ぐこともできる」とした。一方で、専門委員会については「現場で着々と進行しているいじめに、早急に解決できるスピード感があるか疑問」とし、「深刻化や自殺の防止につながるような『即効性』はないように思える」と述べた。

 文部科学省が行った緊急調査では、今年4〜9月に国公私立の小中高校などが把握したいじめの件数は7万5千件を超え、昨年度1年間の7万231件を半年で上回った。生命や身体が脅かされる恐れがあるなどの重大なケースも約250件に上る。

 NPO法人「全国いじめ被害者の会」の大沢秀明代表は「いじめをいじめととらえない先生が多く、子供同士の暴力であれば『けんか』、暴力以外の嫌がらせは『トラブル』として片付けられてしまいがちだ」と指摘。「些細(ささい)だと思われることでも、いじめの疑いをきちんと持って取り組まないと、深刻化を防ぐことはできない」と述べた。

 平成20年4月、いじめ防止条例を全国に先駆けて施行した兵庫県小野市では条例をきっかけに、生徒へのアンケートや電話相談などの対応を拡充した。電話相談は年500件。「子供からこんな話を聞いたが、これはいじめでしょうか」といった保護者の相談も多く、いじめ発覚につながったケースもある。

 小野市の担当者は「『いじめはダメ』と教育しても起きてしまうのがいじめ。どうすれば根絶できるのかは永遠の課題だが、条例は市民の意識向上の一助にはなったと思う」と述べた。

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