<自殺予防教育>「困難」85% 小中高教諭調査
毎日新聞 2012年10月9日(火)2時32分配信
いじめなどを苦にした子どもの自殺が相次ぐ中、授業などで命の大切さやストレスへの向き合い方などを学ぶ「自殺予防教育」への関心が高まっているが、小・中・高校の教諭の67%が自殺予防教育の必要性を感じているものの、実施には全体の85%が「困難がある」と考えていることが、兵庫教育大の新井肇教授らのチームの調査で分かった。自殺をテーマに子どもと向き合うことに対する教師の不安が、改めて浮き彫りになった形だ。
調査は、新井教授の他、阪中順子・四天王寺学園小学校教諭(大阪府)、古谷大輔・厚木市立藤塚中学校教諭(神奈川県)によるチームが、10年7月から8月にかけて、近畿地方の公立小・中・高校などの教員517人を対象に実施した。
自殺予防教育の実施が「困難」と回答した教諭に理由を聞くと「知識や経験を持つ教員が少ない」が72%で最も多く、次いで▽死別体験がある子への配慮が難しい(50%)▽カリキュラムや指導案がない(48%)▽指導に関して教員の共通認識を持つのが難しい(44%)−−の順だった。「寝た子を起こすことにつながる」として、自殺の誘発を恐れる声も18%あった。【山寺香】