館山の中2自殺:再アンケ、父「犯人捜しではない」 「記名」の市教委と対立、実施期日決まらず /千葉
毎日新聞 2012年10月27日(土)11時38分配信
「いじめの犯人捜しをしているわけではないし、教職員の処分を求めているわけでもない。息子と同じ思いをする子が出てこないよう、対策に役立ててほしいだけなのに」−−。4年前、息子を失った父親は26日、怒りを押し殺し、言葉を選んで語った。館山市の中2男子生徒の自殺問題。同市教育委員会(大沢光彦委員長)は県教委の指導を受け、改めて男子生徒の小、中学時代の同級生ら約670人から自殺の背景と原因を調べるアンケートの実施を決めたが、調査手法を巡る父親との対立から実施期日は決まらなかった。【中島章隆】
市教委は同日の臨時委員会でアンケートの詳細を決定し、11月1日からの調査に踏み込む予定だった。それに先立ち、25日夕から市教委学校教育課長らが父親に調査について説明した。
「正確な事実をつかむため」として市教委はアンケートを「記名式」で実施すると父親に伝えた。父親は「記名式では知っていることを書かないケースもある。だれがいじめていたのかを知りたいわけではない。無記名で多くの情報を知りたい」と指摘し、無記名方式か、記名でも無記名でも回答可能なアンケート実施を求めた。3時間近くに及んだ話し合いは平行線のまま終了した。
市教委側が父親と面会したのは、9月26日以来ほぼ1カ月ぶり。当時の教育委員長と教育長が、父親から提出されていた再調査の要望に実質的な「ゼロ回答」を文書で手渡した。
その後、今月10日に市教委は男子生徒の自殺直後に中学が実施した生徒へのアンケート原本を昨年3月、後任の中学校長の判断で廃棄し、市教委がすでに処分していたことを公表した。原本廃棄に関し、市教委のトップは依然として父親に説明も謝罪も一切していない。
10月27日朝刊