教育委員会制度改革案 いじめ根絶、意識改革不可欠

教育委員会制度改革案 いじめ根絶、意識改革不可欠
産経新聞 2014年3月12日(水)7時55分配信

 自民、公明両党が合意した教育委員会制度改革案は教育行政に対する首長の責任を明確にした意味で「半歩前進」といえる。権限が強化される首長は今後、教育問題の細部まで目を配り、いじめなどの根絶に尽力する姿勢が問われる。

 教委制度が、改革に向けて大きく動き出したのは、平成23年10月に大津市で発生した中2男子いじめ自殺事件がきっかけだった。ずさんな調査で、いじめを隠そうとする市教委に批判が集中。責任の所在も常勤の教育長と、非常勤の教育委員長の間で曖昧なことが明らかになり、一気に制度見直しを求める声が強まった。

 与党案は、首長に新「教育長」の任免権を付与し、問題が発生した際は首長が主宰する「総合教育会議」で速やかに対応を協議することをうたった。首長に責任を持たせ、主体的に問題の原因究明や再発防止に取り組ませる仕組みだ。

 ただ、教育行政の最終的な権限は従来通り教委に残している。これには「(昨年12月に最終権限を教委から首長に移行する提言をまとめた)中教審の答申A案から後退したと言わざるを得ない」(文部科学省関係者)との指摘もある。

 教委は引き続き最終責任者としての姿勢が問われることになる。

 「半歩」の改革を大きく前進させるには、非常勤の“気楽さ”に安住しがちだった各教育委員の意識改革が不可欠だ。総合教育会議との連携や切磋琢磨(せっさたくま)を通じ、緊張感を持った教育行政の担い手の育成も求められる。(内藤慎二、川瀬弘至)

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