大和園児プール死亡事故 元担任に罰金50万円、地裁判決
カナロコ by 神奈川新聞 2014年3月25日(火)7時30分配信
大和市の私立幼稚園の屋内プールで2011年7月、園児=当時(3)=が溺死した事故で、業務上過失致死の罪に問われた当時の担任教諭の被告(23)=相模原市南区=の判決公判が24日、横浜地裁であり、毛利晴光裁判長は求刑通り罰金50万円を言い渡した。
毛利裁判長は、水深が約21センチだった事故当時のプールでも園児が溺れる危険性はあったとし、「被告はプール内全体に目を配る注意義務があるのに片付けに気を取られ、園児らの行動を十分注視しなかった」と指摘。「多量の水を吸引して、短い一生を終えることになった被害園児は哀れというほかない」と述べた。
一方で、「短大を卒業して就職したばかりの新任教諭であったのに、教育や指導をほとんど受けずに単独でプール活動を担当させられたことは考慮されるべき。救命に向けた努力をしていた」などとも認定した。
判決言い渡し後、毛利裁判長は「亡くなった(園児)のこと、両親のことを忘れずに、これからどうすればいいのかよく考えてください」と説諭した。
判決によると、平被告は11年7月、園内の屋内プールで3、4歳児の園児11人のプール活動中、片付け作業に気を取られて園児が溺れたことに気づかず、死亡させた。
事故では、当時園長だった被告(66)も同罪で在宅起訴されているが、公判期日は決まっていない。
◆「一歩踏み出せたよ」 公判見守った両親
求刑通りの罰金刑が言い渡され、被告は法廷で深々と頭を下げた。その先には、被害者参加制度を利用し、検察官の隣で公判に臨ん園児の両親の姿があった。
「今後、元園長の裁判もある。(被告の量刑については)納得しています」。閉廷後、取材に応じた父親(39)は、感情を抑えながら語った。
昨年12月から始まった公判は、3カ月以上に及んだ。「検察から起訴内容や証拠をすべて見せてもらえたのは良かった」と被害者参加した経験を振り返りつつ、「すぐ目の前で、被告の言い分を直接耳にするのは、想像以上につらかった」とも吐露した。
被告は起訴内容は認めつつも、園の責任を強調。「一方的」とも映る主張に怒りがこみ上げたこともあった。それでも、「真相を知りたい」と法廷に通い続けた。
事故からもうすぐ3年。伊礼さんは今、学校や幼稚園などで起きた事故の関係者でつくる勉強会に参加している。同様の事故で共通する問題点を探り、再発を防止する仕組みづくりにつなげるためだ。今回の裁判は、その第一歩と位置付けていた。
最愛の存在を失った悲しみは癒えないが、自分がすべきことは見つけた。「パパとママは、しっかりと一歩を踏み出すことができたよ」。天国の我が子に、そう伝えるつもりだ。