「情報を金に変えろ」逮捕の慶応大准教授は情報処理のプロ 徳島大の薄給嘆き…
産経新聞 2014年12月11日(木)22時22分配信
■自分のことを「変わり者」「じっとしていると死んでしまう」
−。徳島大病院の医療情報システム関連の契約に絡む贈収賄事件で、大阪地検特捜部に11日、収賄容疑で逮捕された元徳島大病院情報センター部長、森川富昭容疑者(45)=現・慶応大准教授=は、慶応大で「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な情報を分析して各課題の解決策を探る「データサイエンス」などの授業を受け持ち、情報処理学のプロフェッショナルとして知られていた。今夏には著書「ビジネスを動かす情報の錬金術」を出版。情報を利益につなげるべきだと訴えるなど、金銭への執着もうかがわせた。
複数の関係者によると、森川容疑者は平成4年に徳島大工学部を卒業後、大阪府内の企業で情報システム分野を担当。その知識を生かし、徳島大病院で電子カルテの本格導入を進めた。
21年3月には、徳島大病院のIT化を担当する病院情報センターの初代センター部長に就任。医療情報の集約化やセキュリティー対策の強化などが全国の注目を集めた。
22年には内閣府の「医療情報化に関するタスクフォース」の構成員に選出。国のIT戦略にも深く関わる立場となった。
当時、専門誌のインタビューなどで自らを「変わり者」「じっとしていると死んでしまう」と評した。一方、別のメディアの取材には徳島大の給与の低さを嘆き、「給料が無茶苦茶(むちゃくちゃ)安かった。それまで先生ってすごい給料が高いと思っていた」と答えていた。
24年に慶応大へ移籍後は企業経営にも研究分野を広げ、講演などを通じて名声を高めた。逮捕前、かつての同僚は「研究に没頭するタイプ。不正とは無縁の印象だった」と漏らした。