<教科書謝礼問題>業界団体が再発防止策 除名の罰則規定も

<教科書謝礼問題>業界団体が再発防止策 除名の罰則規定も
毎日新聞 2016年4月27日(水)21時33分配信

 教科書会社が文部科学省の規則に反して検定中の教科書を教員らに見せ、謝礼を渡していた問題で、業界団体の「教科書協会」(東京)が27日、再発防止策の案をまとめ、文科省に提出した。検定や採択(選定)期間中、教員らに対価を支払い意見を聞くことなどを禁止し、違反が見つかった場合は会社名の公表や協会からの除名処分など罰則規定を盛り込んだ。

 協会には採択関係者への金品提供などを禁止する自主ルールはあったが、文科省の指導を受けて改定し、新たに「教科書発行者行動規範」案をまとめた。一連の不正が教科書に対する意見聴取を名目にし、採択の公正性に疑念を生じさせたことから、検定や採択期間中は対価の支払いを伴う意見聴取を禁止することとした。

 一方、教科書作りに現場の声を反映させることにも一定の配慮をした。これらの期間以外であれば教員らに意見を聞き、対価を支払うことを認めるが、適正な金額の基準や提示方法については、この問題を調査している公正取引委員会と調整したうえで明文化する。

 教科書の作製にかかわった人が採択に関与しないようにするため、教科書会社が教科書執筆者や編集協力者のリストを作成し、文科省を通じて各地の教育委員会に提供することも明記した。

 小中学校の教科書を発行する教科書会社22社の社長らは27日に馳浩文科相を訪ね、行動規範案の策定などを報告した。協会の鈴木一行会長(大修館書店社長)は「真摯(しんし)に反省し、失った信頼を取り戻したい」と陳謝。馳氏は「今後、今回のような事案が発覚したら(教科書発行者の)指定取り消しを含めた処分を検討する。襟を正し、公正と信頼確保をお願いしたい」と注文した。【佐々木洋】

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