わいせつ・体罰防止 教職員、異例の行動指針 都教委方針 全6万4000人に配布

わいせつ・体罰防止 教職員、異例の行動指針 都教委方針 全6万4000人に配布
産経新聞 2017/5/7(日) 7:55配信

 東京都教育委員会が教職員のわいせつや体罰など懲戒処分対象の行為を防ぐためにガイドラインを策定し、全教職員約6万4千人を対象に配布する方針を固めたことが6日、関係者への取材で分かった。処分数は減少傾向にあるものの、抑止に向けて新たな対策が必要と判断した。行為の種類ごとに具体例を挙げて心構えなどを明示するだけでなく、処分がもたらす家族への迷惑、生涯賃金の減額にまで踏み込んで説明することも検討している。

 今後、内容をさらに精査。早ければ今月下旬に開かれる教育委員会定例会に報告し、配布に向けた作業に入る。全国的にも異例の取り組みとみられ、他自治体の不祥事対策にも影響を与えそうだ。

 都教委では定期的に不祥事の防止に向けた教職員研修を実施。懲戒処分があった際には全教職員宛てに処分内容を伝えるメールを送信し、注意喚起している。平成28年4月にはわいせつ事案に対する懲戒処分の基準の厳格化に踏み切り、不祥事への厳格姿勢をより鮮明にしたが、処分が後を絶たないため、昨年末にガイドライン策定の検討に着手したという。

 現時点の想定によると、ガイドラインでは「体罰」、女子生徒の体を触るなどの「不適切な行為」、「飲酒に伴う行為」などの項目を設ける。実際にあった過去の処分を参考に対象となる行為、状況を具体的に例示し、注意を促す。

 処分が家族に心労を与え、引っ越しを余儀なくされるケースがあるため、ガイドラインでは本人だけでなく、家族にも多大な迷惑がかかることを強調。処分が昇給などに影響を与え、生涯賃金の減額につながることを周知することも検討している。

 女子生徒の体を触り、処分を受けた教職員の多くは「スキンシップ」「コミュニケーション」と釈明。都教委幹部は、不適切な行為に及ぶ教職員には認識の甘さがみられるとした上で、「処分の具体例や、その影響などを網羅したガイドラインを全職員に持たせ、意識向上につなげていきたい」と話している。

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