佐賀中1いじめ、元同級生側に賠償命令…市への請求は棄却

佐賀中1いじめ、元同級生側に賠償命令…市への請求は棄却
読売新聞オンライン 2019/12/20(金) 16:17配信

 佐賀県鳥栖市立中学校で2012年、当時1年生だった男性(20)が、同級生らから約7か月間にわたり暴行や恐喝を受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、当時の同級生ら8人と保護者、鳥栖市を相手取り、慰謝料など約1億2800万円の損害賠償を求めた訴訟で、佐賀地裁の達野ゆき裁判長は20日、同級生側に賠償を命じる判決を言い渡した。市などへの請求は棄却した。

 訴状によると、男性は中学1年だった12年4月から約7か月間、同学年の8人から殴る蹴るの暴行を受けたり、エアガンで撃たれたりしたほか、100万円以上を脅し取られ重度のPTSDになり、学校に通えなくなったとしている。担任教諭は暴行現場を目撃しながら適切な対応をせず、学校や市教委は安全配慮義務を怠ったと主張している。

 鳥栖市教育委員会は13年3月、「(男性が)十数人から暴行を受けて数十万円を恐喝された」と発表し、市報に「おわび」を掲載した。

 同級生らは訴訟で、暴行の一部を認めたものの、「悪ふざけの延長だった」と主張。市は「いじめに関する情報はなく、教師や学校がいじめを予見、回避することは不可能だった」と反論し、いずれも請求棄却を求めていた。当時の担任教諭は「プロレスごっこだと思った」と主張した。

 男性の主治医は訴訟で「自殺衝動があり、回復の見通しは立っていない」と証言。男性は今年7月、意見陳述で「当時の記憶が消えることはなく、今も苦しめられている」と訴えていた。

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