盗撮や嫌がらせ、範囲拡大(山形)

盗撮や嫌がらせ、範囲拡大
山形新聞 2020/8/13(木) 10:14配信

 県警は「県迷惑行為防止条例」の一部改正に向けた手続きを進めている。現行条例では対象とならない場所での盗撮や、会員制交流サイト(SNS)を利用した嫌がらせなど、スマートフォンの普及や撮影機器の小型化・高性能化を背景に広がる行為を規制するのが目的。パブリックコメント(意見募集)を20日まで行っている。

 県警によると、現行の条例で規制する「卑わいな行為」の摘発人数は2019年、21人に上った。内訳は痴漢8人、盗撮7人、卑わいな言動6人。18年も盗撮で5人、卑わいな言動で6人が摘発された。つきまといなど「嫌がらせ行為」は19年の摘発がなかったが、18年は2人だった。

 ただ、条例には“穴”がある。例えば学校は条例の盗撮禁止場所になっておらず、県立高校では、同条例での摘発が見送られ、で書類送検されている。

 改正案は、現行で「公共の場所」「公共の乗り物」としている盗撮行為の禁止場所に学校や事務所、タクシー、貸し切りバスを加える。公衆用ではない家などの浴場、トイレ、更衣室も規制対象にする。

 また、のぞき見や撮影目的でカメラを下着に「向ける」行為を違反行為として明確化し、カメラ設置も新たに規制。小型無人機ドローンの使用や撮影機器の遠隔操作などを想定し、加害者が被害者と離れた場所にいても対象とする。盗撮画像は、一度インターネットに流出するとすぐに拡散され悪質性が高いため、盗撮の罰則を強化する。

 「嫌がらせ行為」には、拒まれたのに連続して電話をしたり、ファクスを送信したりする行為が規定されているが、新たに「連続した会員制交流サイト(SNS)のメッセージ・電子メールの送信、ブログへの書き込み」「住居付近をうろつく」も加える。

 県警はパブリックコメントの意見を踏まえ、条例改正案を県議会9月定例会に提案し、来年2月1日の施行を目指す。県警生活安全企画課の担当者は「現行では対象にならない行為も処罰できるようになり、被害者の救済につながる」としている。
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 改正案の概要は、県警と県のホームページ、県行政情報センター(県庁1階)や各総合支庁総合窓口で閲覧できる。意見は氏名や住所、連絡先(電話番号)を明記し、郵送かファクス、電子メールで送る。宛先は〒990―8577、山形市松波2の8の1、県警本部生活安全企画課企画係。メールは県警ホームページ内の「お問い合わせはこちら」から書き込める。問い合わせは同課023(626)0110。

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