過少申告 他校でも 学校の勤務時間記録改変 減らぬ教員の負担 揺らぎかねない統計の信頼性
上毛新聞 2020/9/5(土) 6:07配信
群馬県の県立の特別支援学校を巡る勤務時間記録の改変問題は、校内で上司が書き換えを促していた疑いが浮上し、群馬県教委が調査している。一方、他校でも自己判断で勤務時間を実際よりも過少に記録している実態があることが判明。県教委は全ての県立学校に過去の記録が適正かを確かめ、勤務記録を適切に付けるよう指示した。時間外労働の集計は教員の多忙化解消に向けた施策の判断材料とする目的で、改変が常態化していれば統計の信頼性が揺らぎかねない。
■正確に付けず
「虚偽の在校時間を記録に残し、残させることがあってはならない」。県教委が4月から運用する勤務時間のガイドラインは、時間外労働の上限の目安を月45時間と定め、こう記す。2018年度から、全ての県立学校などがパソコン上で記録を集計している。
問題が発覚した特別支援学校では記録上の勤務時間が少なくなるように「除外する時間」の欄が書き加えられたり、出退勤時刻が了承なく書き換えられたりした疑いがある。過少な記録として残れば、万一、過労で体調を崩しても補償を得られなくなる恐れがある。
勤務時間の過少記録は他校にもあるようだ。
東毛地域の20代中学教諭は部活動に充てた時間を一部記録していないと吐露。「やることが他にたくさんある。真面目に書いたら時間外労働は月100時間超だ」とした。県央地域の市立中の女性教諭は「細かい記録自体が手間。管理職は早く帰れと言うが、根本的な仕事量の改善はしてくれない」とこぼし、正確に付けていないという。
ある県立高の男性教諭は部活指導がやりがいで「長時間労働で目を付けられては困る」と考え、故意に記録を少なくしたと語った。
■「制度上の欠陥」
全ての県立学校などに対する昨年度の県教委の調査では、「過労死ライン」の月80時間超の時間外労働をした教職員の割合は前年度から半減した。だが、調査期間はガイドライン作りが本格化した時期と重なり、学校現場では記録上の時間外労働を増やせないという「忖度(そんたく)」が生じやすい状況だったとの見方もある。
埼玉大の高橋哲准教授(教育行政学)はこうした問題を「制度上の欠陥」と批判する。時間外労働の上限規制が仕事量に見合っていない上、時間外勤務手当がなく、過大な時間外労働に対する罰則もないため、「働かせる側にブレーキが利かない状態」と分析。単に記録の不正を防いでも持ち帰り仕事などが発生すると考えられることから「教員の負担を減らすにはしっかりと予算を確保し、増員するしかない」と指摘した。