「肌着は白だけ」に女子生徒は不満 教員が制服をめくり服装検査 「社会ではセクハラだ」と批判
沖縄タイムス 2021/3/16(火) 7:46配信
[学びはだれのもの]
「女子生徒が制服をまくり上げられて点検されるケースもある。人権侵害とも言える行き過ぎた校則、画一的な指導だ」。2020年の那覇市議会2月定例会。市立中学校の校則や生徒指導を巡り、市議から厳しい指摘があった。
特に問題になったのは、夏服時の肌着について。17校中16校に色の指定があった。うち1校は黒系統も認めていたが、それ以外は「白」や「白系統」に限定していた。
各学校が女子生徒の「肌着」として想定しているのは、セーラー服やブラウスの下に着用するタンクトップやキャミソール。しかし白い肌着だとその下のブラジャーが透けて見えやすく、女子生徒からは「男子生徒や男性教員の目が気になる」「色の幅を広げてほしい」といった戸惑いや不満の声が漏れる。
さらに服装検査では、教員が制服をめくったり、ブラウスのボタンの間からのぞいたりする。近年はプライバシーに配慮し、女子生徒の肌着は女性の生徒指導担当などが確認するのが一般的だが、男性の学級担任が近くで立ち会っていたり、違反に気付いた男性教員がその場で指導したりすることもある。
市議会で質問した古堅茂治氏(共産)は「一般の社会で制服をまくり上げればセクハラやパワハラで訴えられる。なぜ学校なら許されるのか」と批判する。
肌着や下着の色指定や検査は各地で問題になり、廃止や見直しの動きが広がっている。長崎県教育委員会は今月、人権侵害になりかねないとして、各学校や市町村教育委員会に見直しを求める通知を出した。岐阜県の県立高校も昨年度以降こうした校則を一掃した。
一方、那覇市教育委員会は「子どもの人権を侵害するような校則は見直すよう各学校に周知する」と答弁したものの、今年1月までに肌着の色指定を変更した学校はゼロ。検討する可能性を示唆した学校も、ごくわずかだった。(編集委員・鈴木実)
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近年、合理性を欠くような学校の校則やルールが、「ブラック校則」として全国で問題になっています。規律を重視する学校の価値観と、人権や多様性への配慮を求める社会の価値観のはざまで悩む生徒の実情や、見直しに向けた学校の取り組みを取り上げます。
肌着検査「気持ち悪い」 家族、人権意識に疑問
那覇市に住む70代の女性は1年ほど前、市立中学校に通う孫娘から「服装検査が気持ち悪い」と打ち明けられた。
検査ではセーラー服とスカートの間から肌着を引っ張り出すようにして教員から確認される。女性は「思春期の女子生徒が、人前で肌着を見られたり触られたりしたくないと思うのは当たり前。学校の人権意識はどうなっているのか」と疑問を投げ掛ける。
同様な検査は、那覇市だけに限らない。琉球大学2年生の女子学生は沖縄本島南部の中学校に在籍時、ブラジャーが透けるのが嫌で黒っぽい無地の肌着を着用していたところ、担任の男性教員にとがめられた。
校則には「白を基調とする」と書かれていたものの、必ずしも白以外は駄目とは読めない。親にも相談し、「これなら大丈夫だろう」と確認してもらった上で購入したものだった。
たまたま白の肌着も持っていたため着替えられたが、着替えのない生徒は親に電話して持ってきてもらうよう指導される。なぜそこまで特定の色にこだわるのか、今も納得がいかない。
定期検査で女子生徒は廊下に並ばされ、ブラウスのボタンの間から肌着を調べられる。女性の生徒指導担当がするとはいえ、窓ガラス一枚挟んだ教室内には、男性の学級担任も男子生徒もいる。視線が気になった。
学校側が肌着の色指定を緩和するのに消極的なのは、派手な色や柄の着用を懸念するためだ。那覇市内の中学校に勤務する教頭は「清潔感のある白系統が望ましい。黒系や灰色が駄目かと言われれば難しいが、赤や紫を着けていれば地域から厳しい目で見られる」とし、「生徒から要望があれば検討することもあり得るが、これまでそうした声は聞いていない」と話す。
前出の女子大学生も「あれはセクハラだったのでは」と考えるようになったのは、大学に入って性教育の講義を受けるようになってからだ。
「内申書に響かないか心配で学校への不満を言えなかったこともあるが、それ以上に『決まりだから仕方ない』と嫌な気持ちをしまい込んでいた。性や人権についてしっかり学んでいないと、自分がセクハラやパワハラを受けていることにさえ気付かない」と指摘する。(編集委員・鈴木実)