山形大工学部2教授、研究費3006万円を不正使用…非常勤研究員が通報

山形大工学部2教授、研究費3006万円を不正使用…非常勤研究員が通報
読売新聞オンライン 2022/3/19(土) 17:25配信

 山形大は18日、工学部有機エレクトロニクス研究センター(米沢市城南)の教授2人が2019〜20年度、外部機関から受け取った研究費計3006万3390円を本来とは別の目的で不正に使用したと発表した。私的流用はなかったとしている。同大は今後、教授2人の処分を検討するとともに、外部機関からの求めに応じて研究費を返還する方針。

 同大によると、不正があったのは、同センター内で印刷技術の高度化などをテーマにする研究室。13〜21年度、三つの国立機関から研究費を配分され、五つの研究事業を同時に進めていた。

 外部機関からの研究費は本来、研究計画に基づいて配分され、別の事業への使用は要綱で禁止されている。しかし、同研究室では、特定の事業の研究費で雇用した研究員や購入した装置を、別の事業に従事させたり、使ったりした。調査の結果、研究員3人の人件費と、研究用装置3台の購入費が目的外使用だった、とされた。

 同大は、不正が起きた原因として、▽複数の機関から資金が入り業務態勢が複雑になっていた▽意思決定の最高責任者だった教授が外部資金の使用方法を都合よく解釈した――ことなどを挙げた。

 この問題は、同センターで働いていた非常勤研究員が20年9月、同大や研究費を出した機関に通報したことなどを受け、21年1月に学内外の委員でつくる調査委員会を設置して調査してきた。

 玉手英利学長は18日の記者会見で謝罪し、「研究費不正防止の最高責任者として、今回の事態を厳粛に受け止める。この件を教訓に、研究開発に励む態勢を再構築したい」と述べた。

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 しかし、大学の職員組合によると研究室は国側に対し、研究開発費としておよそ2300万円掛かったとする報告書を提出していたが、このうち、およそ350万円はプロジェクトとは関係のない産業用ロボットなどの設備費だという。さらに、プロジェクトに携わっていない研究員の人件費としておよそ450万円が記載されていたということだ。
 不正な記載は合計で800万円に上り、国側は現在、大学に対する事業費の交付を全額保留にしているいうことだ。

 山形大有機エレクトロニクス研究センター(山形県米沢市)の非常勤研究員らの雇用契約時に違法な対応があったと同大職員組合が発表した問題で、この研究員を含む男性職員2人がパワーハラスメントで精神疾患を発症したとする労災を米沢労働基準監督署に申請したことが2日、組合などへの取材で分かった。労基署は事実確認を進めており、早ければ年内にも結論を出す見通し。

 大学が研究実績を資金拠出機関に報告する20年4〜6月分の書類に、自身が関わっていない業務が記されていることに気付き、指摘したが、上司の担当教授らから押印を強要された。
 組合は、職員の賃金に目的外の研究費が流用されたり、本人の意に反して流用に加担させられたりした疑いがあるとして、問題視している。
 不正を指摘した後、職員は担当教授から雇用打ち切りをほのめかすパワーハラスメントを受けた。パニック障害となり、20年8月に退職したという。
 組合は20年8月から21年3月にかけ、大学やJST、海上・港湾・航空技術研究所に公益通報した。大学は通報内容などを調査するため、20年末に調査委員会を設置したが、調査結果はまだ報告されていない。同大総務部は取材に「事案の詳細を把握しておらず、コメントできない」と答えた。

 山形大職員組合は30日、同大有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)に勤務する男性研究員と大学側が雇用契約を結ぶ際、雇用条件の変更を知らせないまま強制的に署名させるなどの違法な対応があったと発表した。賃金が、従事した研究とは異なるプロジェクトの資金から流用されていたとも主張した。

去年6月、山形県米沢市の山形大学工学部で起きた火事で、米沢署は12日、放火未遂の疑いで元研究員の男性を書類送検しました。男性は、既に死亡しています。
現住建造物等放火未遂の疑いで書類送検されたのは、山大工学部の元研究員の男性です。
警察によりますと元研究員は、去年6月、山大工学部の「有機エレクトロニクス研究センター」の研究室内でゴミに火をつけ、コンテナや壁の一部を損傷させた疑いです。この火事の数日後、元研究員は自殺したとみられ、県内で遺体で見つかっていました。
山大の職員組合によりますと元研究員は、教授や准教授などから「従わなければクビにする」と暴言を浴びせられるなど、パワハラを受けていた疑いがあるということです。

 山形大有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)でパワーハラスメント疑惑を同大職員組合が発表した問題で、被害を申し立てた男性研究員への未払い賃金について、同大は16日、控除額を除く超過勤務手当として計約140万円を17日に支払うと明らかにした。
 関係者によると、支払われるのは男性が着任した2019年5月から20年12月までの、未払いとなっている約540時間分。今月分の給与と合わせて銀行口座へ振り込む。
 男性は勤務簿が改ざんされたなどとして、類似の被害を訴える同僚3人と共に20年8月、同大へパワハラ被害を申し立てた。米沢労働基準監督署が同10月に是正勧告を出したものの大学は約2カ月にわたって対応せず、労基署が早期の対応を求めて大学へ口頭で指導していた。

 山形大有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)でパワーハラスメントがあったとされる問題で、大学の新たな調査委員会が正式に発足し、近く初の聞き取りを行うことが14日、分かった。同日の定例記者会見で玉手英利学長が明らかにした。

 山形大有機エレクトロニクス研究センター(山形県米沢市)でのパワーハラスメント疑惑を同大職員組合が発表した問題を巡り、被害を申し立てた男性研究員に対し未払い賃金があるとして、米沢労働基準監督署が今月、同大に早期に是正勧告に対応するよう口頭で指導したことが21日、分かった。職員組合が明らかにした。

 山形大の有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)でパワーハラスメントが発生していたと同大職員組合が11月に発表した問題を巡り、学内に設置した調査委員会の聞き取り調査が進まず頓挫し、大学側が外部の専門家ら第三者による調査委に設置し直すことが19日、関係者への取材で分かった。聞き取りが2カ月以上行われなかった実態も明らかになった。

 山形大の有機エレクトロニクス研究センター(山形県米沢市)でパワーハラスメントが発生していたと同大職員組合が発表した問題を巡り、玉手英利学長は5日の定例記者会見で「学長として責任を感じている」と述べた。被害の申し立てを受けて9月、特別対策委員会を学内に設置したことも公表した。

 山形大職員組合は2日、山形大有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)で、複数の教授らが4人の男性教授らに対して、着任前に約束した内容とは異なる業務をさせるなどのパワーハラスメントを行っていたと発表した。【日高七海】
 組合によると、パワハラを行っていたのは同センターに所属する教授ら4人。被害に遭った男性教授の1人は、当初、豊富な研究費があることや、ベンチャー企業設立に関わる補助などの業務があると誘われ、昨年11月に採用された。だが、実際にはベンチャー企業設立の責任を負わされ、業務が遅れると、「こんなに遅れていたら来期は雇用できない」などと告げられたという。
 他にも、国や企業から研究費として獲得した財源を研究とは関係の無い設備の購入に流用したり、実際の研究者が正当な評価をされず、一部の教授らが成果を上げたように報告したりするなどの行為もあったという。
 また、今年6月の同センターでの火災のあと、パワハラを受けていた別の男性研究員が、その数日後に亡くなっていたことも明らかになった。男性は機能不全の機械の運用などを任されていた。

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