虐待疑い、実習した学生が指摘 熊本乳児院 文書に記入、熊本市も把握

虐待疑い、実習した学生が指摘 熊本乳児院 文書に記入、熊本市も把握
熊本日日新聞 2023/1/27(金) 20:59配信

 熊本乳児院(熊本市中央区)で、職員による虐待が疑われる行為があったとして市が調査を進めている問題で、同乳児院で実習をした複数の大学生や専門学校生が「体が浮くほど腕を引っ張るのは気になった」などと虐待が疑われる行為を文書で指摘していたことが、27日までに分かった。

 同乳児院は複数の学校から保育士や看護師を目指す学生の実習を受け入れており、文書は1〜2週間の実習期間の最終日に記入していたという。熊日が入手した文書の期間は2017年3月〜21年3月で、学生約40人分。実習で疑問に思った点について、複数の学生が「かみついた子どもを後ろに突き飛ばした場面があった」「子どもが反抗したとき、軽くたたいたり、物を投げて子どもに当てる」などの行為を目撃したと書いていた。「口調が強くびっくりした」など、怒鳴り声や大声に関する記載もいくつかあった。

 同乳児院では、21年6月の同じ日に子ども2人が肘を負傷。うち1人は8月にも肘を傷めた。関係者によると、少なくとも二つのケースが肘の靭帯[じんたい]がずれる「肘内障[ちゅうないしょう]」と診断されている。元職員は「実習では、書面を基に管理職と学生が面談していた。管理職が虐待疑いの行為について知らないはずはない」と指摘している。

 文書について、市子ども政策課は「昨年11月以降の調査で把握していた。昨年3月の改善勧告を出した時点で、文書(の存在)を把握していたかどうかは不明」。その上で、「断片的な情報も含め資料や記録を集めて調べている。(文書の)内容を精査して事実関係を確認し、ふさわしくない行為だったのか、ただの事故だったのかを判断していく」としている。(乳児院取材班)

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