差別語を教諭が連発、撮影した生徒が停学処分 米高校に批判

差別語を教諭が連発、撮影した生徒が停学処分 米高校に批判
BBC News 2023/5/17(水) 18:17配信

ナディーン・ユシフ、BBCニュース

アメリカの高校で今月上旬、教諭が授業中に人種差別的な単語を使い、それを動画に収めた生徒が停学処分となった。この対応をめぐり、高校への批判が相次いでいる。

メアリー・ウォルトンさん(15)は5月9日、ミズーリ州スプリングフィールドのグレンデール高校で、教員が繰り返し黒人差別の単語を口にするのを撮影した。

ウォルトンさんの弁護士のナタリー・ハルさんによると、ウォルトンさんはこの動画を母親や友人と共有。その後、知らない間にソーシャルメディアに広く投稿されたという。

高校は12日、ウォルトンさんを3日間の停学処分にした。彼女の違反行為に照らし、学校が定める最も重い措置だったという。

学校側は、停学処分は適切だったとした。差別語を発した教員は辞めたという。

処分が出されたあと、ウォルトンさんと母親のケイト・ウェルボーンさんは弁護士のハルさんを雇った。そして学校側に謝罪と、停学処分の学業記録からの抹消を求めた。

ハルさんは停学処分について、生徒たちに誤ったメッセージを送るものだと主張。「教師が悪いことをしているのを撮影すると、自分自身が罰を受けるということになってしまう」と述べた。

■人種的中傷について議論中

ハルさんによると、撮影当時、生徒たちは問題の差別語について議論していた。そこに教諭が割って入り、差別語を繰り返し発したという。

ウォルトンさんが撮った動画には、男性教師が差別語を口にし、生徒たちがやめるよう求める様子が映っていた。

教師は「私は誰のことも(※差別語)とは呼んでいない」、「だからその単語を使っていいんだ」と話している。

同校のジョシュ・グローヴス校長は、この教師の行動を非難し、すでに同校に勤務していないとする声明を出した。BBCはこの声明を入手している。

校長はまた、今回の出来事に対して学校は適切な行動を取ったと確信していると主張。

さらに、「生徒への処分内容について学校には守秘義務があると、連邦法で定められている。スプリングフィールド公立学校当局は、措置の詳細を明らかにできない」、「ただ、生徒のハンドブックには、電子機器を不適切に使うとどうなるかが明記されている」とした。

■学校の対応への批判

ウォルトンさんの母親はBBCに、学校側に対しては、現行の方針の変更と、今回のような出来事が再発した際の対応について、教職員と生徒を教育してもらいたいと話した。

「方針が誤って適用されたか、方針に問題があって、内部告発の規定がないことが明らかになったかのどちらかだ」

ウォルトンさんの行動をめぐっては、「ラジオ・テレビ・デジタル・ニュース協会」のダン・シェリー会長が支持を表明。学校関係者に宛てた手紙で、停学処分に「深刻な懸念」を抱いていると書いた。

米紙ワシントン・ポストによると、シェリー会長は手紙の中で、「彼女はむしろほめられるべきで、罰せられるべきではない」と主張。ウォルトンさんはジャーナリストではないが、「明らかにニュース価値のある出来事」を記者のように記録したと付け加えた。

母親によると、ウォルトンさんはこの出来事のあと、つらい日々を過ごしているという。「物事が正常に戻って、学年を終えられることを娘は願っている」と母親は話した。

(英語記事 US student suspended for filming teacher using slur)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする