体罰緊急調査で私立は校名非公開 京都府方針
京都新聞 2013年5月15日(水)9時29分配信
文部科学省の体罰緊急調査で私立中学、高校から体罰事案報告を受けた京都府が、学校名を「学校の利益」などを理由に非公開とする方針を決めたことが14日、分かった。府情報公開審査会の答申を受け、公立は府教育委員会が教員名まで開示する厳しい姿勢に転じたが、私立を所管する府文教課は学校への配慮を優先した格好だ。
京都新聞社の情報公開請求に「学校の競争上の地位、正当な利益を害する恐れがある」として学校名を不開示とした。請求対象は今年2月に私立小中高全74校が府に提出した調査書。昨年4月から今年1月の計83件の体罰件数や、それぞれが「殴る」「蹴る」など、どの項目に分類されたのかは開示した。
府文教課は文科省が私立への調査を任意とした点を挙げ、「任意である以上、学校法人の利益を考えて公表対象を決める必要がある。公務執行上で起きた公立での体罰とは異なる」と説明する。
同課によると、全校への意見照会で4分の1にあたる20校程度が学校名公表を拒否したという。府は不開示の判断理由の一つとして「今後の同様の調査に協力を得られず、支障を及ぼす恐れがある」ことも挙げている。
今回の調査をめぐっては3月に調査結果を発表した際も、けがの有無を「該当校の了解が取れていない」として、その時点での公表を見送った。
私立小中高校は学校法人が運営しているが、府は学校の設置や廃止の許可権限を持つ。学校運営費などの補助金も支出、本年度当初予算で約269億円を盛り込んでいる。