給与補填の意図認める 鹿児島県知事、上海職員研修問題で
産経新聞 2013年6月14日(金)22時27分配信
鹿児島県が、鹿児島−上海便の存続を理由に県職員1000人の上海研修事業費として1億1800万円を補正予算案に計上した問題で、伊藤祐一郎知事は14日の県議会で「職員給与削減分の一部を研修という形で還元するのは、必然的な流れ」と述べ、給与補填(ほてん)であることを認めた。一方、最大会派の自民党県議団は賛否を決めかねている。原案通り可決すれば議会の見識が問われることになる。(谷田智恒)
県議会は14日、一般質問を行った。公明党県議団の成尾信春氏は「県費による丸抱えではなく、職員に研修費の一部を負担させ、浮いたお金で経済団体を一緒に行かせるなど工夫すべきだ」と知事に求めた。
伊藤氏は「国の要請に基づき、職員1人あたり19万円ほど給与削減をする。その一部を研修という形で還元するのは必然的な流れ。税金丸抱えというケースにあたらない」と述べ、職員の自己負担に慎重な姿勢を示した。その上で「上海便が路線廃止になれば、鹿児島の発展可能性が大きくそがれる。批判を覚悟の上で予算案を計上した」と答弁した。
しかし、総務省によると、全国1789の地方自治体の半数近くが、政府の要請を受けて職員給与を減額する。この給与削減の補填を目的に、鹿児島県職員だけが研修という名の下の“上海旅行”をするのは、到底理解を得られない。
さらに成尾氏はこの日の県議会で、県教委が5月末に県内43市町村の教育長や県立学校80校の校長にあてて、研修の周知を図る文書を送付していたことを明らかにした。補正予算案を審議する議会の開会前に、研修を希望する教職員を募ったものといえる。
文書は「上海派遣短期特別研修の実施について」と題し、3泊4日の「特別研修」の概要を記し、教職員への周知を要請した。こうした要請は異例といい、県教育庁総務福利課は「今回の事業は教職員を対象とした予算であり、知らせる必要があると考えた」と理由を説明した。
議会終了後、成尾氏は「『給与削減し、かわいそうだから』というのでは、まさに慰安旅行だ。また、議会前に県教委が文書を出したことは議会軽視も甚だしい。このまま通したら、大変なことになる」と批判した。
上海研修に対しては、共産党県議団も13日、伊藤氏に中止を求める申し入れをした。
だが、県議会51議席中35議席を占め、これまで伊藤県政を支えてきた自民党県議団は態度を決めていない。13日に総会を開いたが、賛否が分かれ結論は出なかったという。
酒匂卓郎会長は「(伊藤氏が)1000人のうち300人を民間にしたことは一定の評価をしたい。各議員が県民の代表として、議論を深める中で、団として一定の方向性を出すことになる」とした。
ただ、給与補填を認めた格好の答弁は、自民党県議団内に波紋を広げている。複数の自民党県議は「内輪ならともかく、まさかあんな答弁をするとは驚いた。このまま賛成は難しい」と語った。